親元を離れて暮らす大学生らを対象に、総務省が不在者投票のオンライン申請を導入して7年になるが、本紙が関東地方の1都6県を取材したところ、7割を超える自治体がいまだにオンライン申請を導入していない。システム改修に手間暇かかるのが主な理由だが、導入していない自治体では従来通りの煩雑な手続きが必要で、学生から敬遠されている。(山下洋史)
不在者投票 国政と地方選の投開票日に、住民票のある自治体にいることができない人が利用できる制度。公示・告示日の翌日から投開票日の前日まで利用できる。住民票は大学近くに移したが、夏休みなどで帰省していて投票に行けない学生▽長期出張などで自宅から遠くにいる人―が主に利用する。期日前投票は、住民票のある自治体の投票所に足を運ぶ必要がある。
◆郵送は煩雑、投票諦める人も
実家のある東京都武蔵野市を離れ、京都市に暮らす京都大2年の岡本大佑さん(19)。住民票は移さず、選挙権は武蔵野市に残したままだ。同市はオンラインを導入しておらず、岡本さんは「一票を投じたいが、手続きが複雑だとハードルが高くなる。私のように考える大学生は多い」と話す。
不在者投票は
(1)地元選挙管理委員会に郵送などで投票用紙を請求
(2)帰省先など指定した住所で投票用紙を受け取る
(3)帰省先など最寄りの選管に投票用紙を提出する
の手続きが必要。東京都で暮らし、愛知県の実家に帰省している場合、帰省先ですべてできる。
(1)地元選挙管理委員会に郵送などで投票用紙を請求
(2)帰省先など指定した住所で投票用紙を受け取る
(3)帰省先など最寄りの選管に投票用紙を提出する
の手続きが必要。東京都で暮らし、愛知県の実家に帰省している場合、帰省先ですべてできる。
オンライン請求できるのは(1)の投票用紙の請求。これまでは所定の用紙に必要事項を記入し、身分証明書のコピーなどを添付して選管あてに郵送していた。オンラインではネットで必要事項を記入し、身分証明書のデータを添付すれば済む。
茨城県下妻市は昨年12月10日の市議選からオンラインを導入。LINE(ライン)で投票用紙の請求を受け付けた。スマートフォンから名前、生年月日、現住所を入力すれば完了。不正対策としてマイナンバーカードの情報を読み取る。
不在者投票は30件で、ライン申請は2件。市の担当者は「ニーズのあることが分かった。知らない人も多いので積極的に周知していきたい」と語る。