「共同親権」本当に導入する? 推進の自民内部にも慎重論 公約の維新「強引に押し切らない」(2024年2月16日『東京新聞』)

離婚後の父母がともに子の親権を持ち続ける共同親権を導入する民法改正要綱案。父母が協力して子育てを続ける機運の高まりが期待される一方、自民を含む与野党には導入への慎重論もある。離婚後の家族のあり方を大きく変えかねないだけに、条文案が固まる前から議員らの激論が交わされている。

超党派の勉強会で想定される課題を確認

 「子どもが海外に修学旅行に行く際、親権者がパスポートの発行を拒否したら、どうなるのか」「対立が増え、日々の暮らしで大変なひとり親が裁判所に通わなければならなくなる」
 9日に開かれた超党派議員の勉強会では、導入後に想定される課題に関する意見が相次いだ。発起人は、自民党野田聖子総務相立憲民主党福山哲郎元幹事長。両党と日本維新の会、共産、社民の各党から計14人が参加し、法務省の見解や子連れで離婚した人たちの意見を聞いた。

◆立民・福山哲郎氏は「前提に無理がある」

 野田氏は「性別による対立や中傷が起きやすいテーマ。親のエゴでなく、子どもの利益に資するための冷静な議論が必要だ」と求めた。福山氏は子どものころ、父から母へのドメスティックバイオレンス(DV)があり、自宅から逃げた経験を明かし「本当にみじめで、恐怖だった」と語った。要綱案は、人格の尊重や協力を明記したが「それができる相手なら離婚や紛争にならない。法案の前提に無理がある」と訴えた。

◆与党は「意義を丁寧に伝えないと」「議論尽くすことが重要」

 共同親権を巡っては、導入を推進する超党派共同養育支援議連(会長・柴山昌彦文部科学相=自民)もあり、所属政党にかかわらず議員間で賛否がある。
 自民の法務部会関係者も「党としては推進が基本姿勢だが、意義を丁寧に伝えないといけない」と漏らす。公明党山口那津男代表は13日、記者団に「不安を招かないように議論を尽くすことが重要だ」と語った。

◆共産・田村智子氏「子どもの視点欠く」

 共同親権の導入推進を公約する維新は、独自法案の提出も模索。藤田文武幹事長は14日の記者会見で「強引に押し切るのではなく、絡んだ糸をほぐしながら前進させたい」と説明した。共産党の田村智子委員長は同日の会見で「そもそも『親権』という考え方は子どもの権利の視点を欠く。大本の議論が必要だ」と語った。(大野暢子)
 
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令和6年2月2日総会開催

議案は下記のとおりです。

1.法務省より「法制審議会の取りまとめに向けた議論の状況」について
2.各省より対応状況の説明
3.質疑応答等

【配布資料】
•家族法制の見直しに関する要綱案(修正案)[法制審議会家族法制部会 資料37-1(法務省)
• 附帯決議 (案)[法制審議会家族法制部会 参考資料37-2(法務省)
•家族法改正を見据えた家庭裁判所の取組(最高裁判所)
•住民基本台帳制度におけるDV等被害者への支援措置の見直し等について(総務省)

昨日2日、共同養育支援議員連盟の総会を開催。法務省から今回の家族法改正要綱案についてまず説明を受けた。離婚手続が変わることはないが、共同養育計画の作成や親講座の受講などについて推進していくとのこと。親子交流の基準についても明確化して欲しいと注文。
子供の不当な連れ去りや監護親(必要的とされず)が居所指定権の乱用をすることは許されないことや、裁判所の協議を無視したら親権変更の考慮要素になる旨も確認。法定養育費についても手続との関係で妥当な水準を精査すべきと注文があった。

法務省刑事局では子の連れ去りについても真摯に対応すべきとの研修を行う旨の文書が発出されたとのこと。総務省の支援措置に関しては、住民票不交付決定への審査請求ができる旨の伝達、虚偽申請対策として相談機関の意見欄を設けることなどを1月30日付で通知したとのこと。

支援措置の更新についても正式なDV保護命令申立ができない理由を精査すべきとの意見があった。男女共同参画室には世田谷や奈良の離婚講座で子の連れ去りを不当に助長する内容があったのでないかとの確認と善処を要求。児童扶養手当が形式上共同養育になっていても実質上片親なら支給を要求。

DVの解釈・認定をきちんと行うべきとの要求、国際社会へのしっかりとしたメッセージの発信、調停上子の意見を虚心坦懐に聞くことの重要性と難しさ、今回も様々な意見が出た。裁判所も含め政府横断できちんと対処するよう、そしてよい条文が出されるよう、引き続き尽力していく。