岸田首相の偽画像などがSNSで相次ぎ拡散 注意を呼びかけ(2024年2月18日『NHKニュース』)

岸田総理大臣の偽画像などがSNSで相次いで広がっています。写真が合成されたものや、実際の映像を切り貼りして異なる文脈で使ったものもあり、専門家は生成AIなどで加工が簡単になっているため、政治に関するフェイクも増えているとして注意を呼びかけています。

2月12日以降、旧ツイッターのXでは岸田総理大臣がソファに座って足を組んだアメリカ政府の高官ににらみつけられているようにも見える偽の画像が出回りました。

画像は、2022年4月のアメリカ政府の高官とブラジルの外務大臣が面会した際の写真を岸田総理大臣に置き換えたもので、指の形が不自然で背景の一部がゆがみ、じゅうたんの柄やいすのひじ掛けなどが加えられていました。

この偽画像を投稿したのはロシアを支持する投稿を繰り返しているアカウントで、転載されたものを合わせて70万回以上見られていました。

また、岸田総理大臣の発言の映像を切り貼りして「日本人の割合は10%で残りの90%は移民で構わない」などと述べたとする偽情報もXで拡散しました。

動画は2023年7月、岸田総理大臣が外国人の人口が多いアラブ首長国連邦などを例に挙げながら、日本の現実に合う共生社会を考えるべきだと述べた発言の一部を文脈を無視して切り貼りしており、外国人との共生に反対しているアカウントが投稿し、250万回以上再生されていました。

2023年には岸田総理大臣が実際には発言していない内容を生成AIを使って発言したように見せた偽動画も出ており、情報源を確認するなどして、安易に拡散しないことが大事です。

偽情報対策に詳しい国際大学の山口真一准教授は「生成AIなど、技術の進歩によって誰でも簡単に画像や映像を加工できるようになっており、政治に関するフェイクも増えている。選挙に影響を及ぼし、社会の分断にもつながるため、民主主義の根幹に関わる大きな危険性をはらんでいる」と述べ、注意を呼びかけました。