東京 首都圏 こちら特報部 社会 政治 経済 国際 スポーツ ライフ 文化・芸能 社説・コラム イベント 経済 仕事はある…人は足りない 東京は2023年平均求人倍率1.78倍 労働力の奪い合いに<深掘りこの数字>(2024年2月18日『東京新聞』)

 東京で仕事を探す人にどれだけ求人があるかを示す「有効求人倍率」の2023年平均は1.78倍となるなど、人手不足が顕著になっている。コロナ禍前の19年(2.10倍)以来の高さとなり、求人数が求職者数を上回る現状が浮かび上がった。
 東京労働局の資料によると、企業からハローワークに出された有効求人数は21年8月から29カ月連続で前年同月を上回る。一方、有効求職者数は23年9月まで15カ月連続の前年割れ。求人数の増加に求職者数が追いつかない状況が続いた。
 都道府県別で見ると、東京の有効求人倍率は2番目の高さ。同局によると、東京に本社を置く大手企業が多く、コロナ禍後は5類移行など経済活動の正常化を背景に、居酒屋チェーンやファミリーレストランなどサービス業が出す求人数が伸びたという。

◆人材争奪戦 飲食・宿泊は今後も

 人手不足の現状は、事業者への聞き取り調査でも表れる。東京商工会議所が23区の1429社に昨秋実施した調査によると、人員が「不足」と答えた中小企業の割合は60%。日銀が1月に公表した地域経済報告(さくらリポート)でも、本店管内の1都3県(埼玉、千葉、栃木)の企業から「人手は取り合いになっている」との声が寄せられた。
 SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人氏は「東京は地方より仕事が多く労働需要が強い」と指摘。中国人の観光客が戻りつつある点にも触れ「飲食や宿泊など非製造業で人手不足は続く」とみる。飲食業の事例として店員を呼ばずに注文できるタッチパネルの導入など「今後は人手不足を解消するための投資が必要になる」と話した。(大島宏一郎)