「紀州のドン・ファン」元妻の須藤早貴被告 3千万円詐取罪の初公判 真相解明なるか(2024年5月10日『産経新聞』)

 
野崎幸助さん(右)と元妻の須藤早貴被告=平成29年12月(ジャーナリストの吉田隆氏撮影)

紀州ドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻の須藤早貴被告(28)について、事件前に別の男性から現金計約2980万円をだまし取ったとする詐欺罪の初公判が10日午後2時から、和歌山地裁で開かれる。3年前に起訴された殺人罪の審理が始まる見通しが立たない中、先行して始まる刑事裁判。被告の法廷での言動が注目される。

起訴状によると、平成27年3月~28年1月、3回にわたって札幌市の男性=当時(61)=から計約2980万円を詐取したとされる。海外留学の準備金や第三者への弁償金を名目にして、「助けてほしい」などと噓をついて現金を振り込ませていたという。

当時19歳だったが家裁送致時点で20歳以上だったため検察官送致(逆送)され、起訴された。裁判員裁判になる見込みの殺人事件の公判は分離され、詐欺事件は裁判官3人が審理する。

札幌市の美容専門学校を28年に卒業して上京した須藤被告。一時、東京都内で1人暮らしをしていたが、30年2月に野崎さんと結婚した。

金融や酒類販売業などで財を成した野崎さん。女性関係や半生を本に著し、欧州の伝説上の色男になぞらえ「紀州ドン・ファン」と一部メディアで話題となった。だが、野崎さんは同年5月24日に自宅で死亡。死因は急性覚醒剤中毒と判明した。

2人の関係を巡っては、野崎さんが毎月100万円を支払うことが結婚の条件だったが、須藤被告の東京滞在が多いことなどに不満を募らせ、離婚を迫っていたとの情報もある。

和歌山県警は令和3年4月、致死量の覚醒剤を摂取させて殺害したとする殺人容疑などで須藤被告を逮捕。和歌山地検が同年5月に起訴した。須藤被告は捜査段階で黙秘したとされる。

起訴から約3年が経過した殺人罪。裁判官と検察側、弁護側が争点や証拠を絞り込む手続きを進めているとみられる。

捜査関係者によると、須藤被告は事件前に覚醒剤の密売人と接触していた上、覚醒剤や殺害の方法をスマートフォンで検索した形跡もあったが、直接証拠には乏しく、弁護側が全面的に争う可能性が高い。

遺産は約13億円に上るともいわれる野崎さんの死から間もなく6年。事件の真相解明がどこまで進むかが今後の焦点となる。

おことわり 須藤被告は詐欺事件当時未成年(19歳)でしたが、殺人という重大事件の被告であることなどを考慮し実名とします。

 

「金を受け取ったのは事実だが」紀州ドン・ファン元妻の須藤早貴被告 詐欺罪を争う姿勢(2024年5月10日『産経新聞』)

 

 紀州ドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻の須藤早貴被告(28)について、事件前に別の男性から現金計約2980万円をだまし取ったとする詐欺罪の初公判が10日、和歌山地裁で開かれた。須藤被告は起訴内容について「お金を受け取ったことは事実で噓をついたが、(被害男性は)それを分かったうえで、私の体を弄ぶためにお金を払った」と述べ、弁護側は詐欺罪の成立を争う姿勢を示した。

起訴状によると、平成27年3月~28年1月、3回にわたって札幌市の男性=当時(61)=から計約2980万円を詐取したとされる。海外留学の準備金や第三者への弁償金を名目にして、「助けてほしい」などと噓をついて現金を振り込ませていたという。

当時19歳だったが家裁送致時点で20歳以上だったため検察官送致(逆送)され、起訴された。

須藤被告は、30年5月24日に殺意を持って致死量の覚醒剤を野崎さんに摂取させて殺害したとする殺人罪などでも起訴されている。須藤被告と野崎さんは同年2月に結婚したばかりだった。

野崎さん殺害事件については、令和3年5月の起訴から約3年が経過しているが、いまなお裁判官と検察側、弁護側が争点や証拠を絞り込む手続きを進めているとみられる。直接証拠に乏しいとされ、弁護側が全面的に争う可能性が高い。

 


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