トランプ氏に530億円支払い命令、アメリカ大統領選に影響か 一族企業の資産価値を偽り不当に利益(2024年2月17日『東京新聞』)

 【ワシントン=浅井俊典】トランプ前米大統領の一族が経営する複合企業が自社の資産価値を過大に見せかけて金融機関から有利な条件の融資を受けていたとして、東部ニューヨーク州の司法当局がトランプ氏らに不当な利益の返還を求めた民事訴訟で、州地裁は16日、トランプ氏らに約3億5480万ドル(約533億円)の支払いを命じる判決を下した。
16日、発言するトランプ前大統領=米フロリダ州パームビーチで、AP

16日、発言するトランプ前大統領=米フロリダ州パームビーチで、AP

◆「魔女狩りであり選挙妨害だ」控訴する方針

 トランプ氏がニューヨーク州内で企業の役員や取締役に就任することも3年間禁じた。ホテルやカジノを経営する「不動産王」として名をはせた後、大統領に上り詰めたトランプ氏のイメージが傷つく可能性がある。返り咲きを狙う11月の大統領選にも影響しそうだ。
 判決後、トランプ氏は記者団に「バイデン(大統領)の政敵に対する魔女狩りであり、選挙妨害だ」と主張した。トランプ氏側は控訴する方針。判決では、トランプ氏の息子2人にもそれぞれニューヨーク州での2年間の就労禁止と400万ドル(約6億円)の支払いを命じた。
 裁判所は昨年9月、トランプ氏らが私邸の資産価値を過剰に高く見せかけるなどして金融機関から有利な条件の融資を受けたのは州の民法が禁じる詐欺行為に当たるとして不正を認定。不正の程度や支払金額が争点となっていた。トランプ氏は今回の民事訴訟に加え、議会襲撃など四つの刑事事件でも起訴されている。