障害者配慮の法廷に(2024年4月28日『しんぶん赤旗』)

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最高裁に署名を提出する新里宏二さん(左)、藤井克徳さん(中央)ら=26日、最高裁
 
優生保護法問題の全面解決をめざす全国連絡会」(優生連)と優生保護法被害全国原告団弁護団は26日、優生保護法裁判に正義・公平の理念に基づく判決を求める署名を最高裁に提出し、書記官と懇談しました。署名提出は今回で4回目。総数32万3104筆を届けました。
 旧優生保護法のもと、不妊手術などを強制されたとして、国に謝罪と損害賠償を求める裁判は全国各地でおこなわれ、そのうち5件が最高裁に上告されており、5月29日に大法廷で口頭弁論が行われる予定です。
 懇談後の記者会見で優生連共同代表の藤井克徳さんは「国が勝手に“不良”と決めつけた人の人権を無視し、子どもを産むか産まないかを自分で決める自由を奪った差別に満ちた法律を国が放置し、差別をまん延させてきた。この裁判は障害問題の本質を問う裁判だ」と説明。「この裁判には障害者が多くかかわっており、裁判のなかで合理的配慮が求められている。公費による手話通訳、文字通訳、車いす利用者のためのスペース確保、盲導犬同伴などを要望してきた。しかし、4回目のきょうも回答していただけなかった」と落胆の色をみせました。
 刑事裁判では公費負担で手話通訳、筆記通訳がつく一方、民事裁判はいっさいなく、負けた場合、情報保障にかかった費用は当事者負担になる事例があるといいます。
 優生連共同代表で全日本ろうあ連盟副理事長の大竹浩司さんは、「優生保護法の裁判原告39人のうち聞こえない人は17人います。全国で聞こえない人が裁判に参加しています。手話は言語のひとつです。司法の世界に私たちの思いが伝わるよう、裁判所の責任で手話通訳、筆記通訳者配置など配慮をするべき」だと訴えました。
 弁護団の新里宏二弁護士は「この裁判でも当事者の声が社会を変える力になっている。ぜひみなさんも声を聞いてほしい」と話しました。