自民党派閥の政治資金パーティーの裏金事件を受け、還流などを受けた安倍派の議員が政治資金収支報告書の収支を訂正する際に「不明」「使途不明金」などと記載するケースが出ている。議員側は調査中を理由にするが、細かな使い道が今後明らかになるかは不透明のまま。識者は「チェックを強める仕組みが必要だ」と指摘する。
◆「一部の精査が終わっていない」
派閥から2018〜22年の5年で計2728万円の還流を受けた前政調会長の萩生田光一衆院議員が代表を務める「自民党東京都第24選挙区支部」は、各年の収支報告書に還流分の金額を寄付収入として記載。一方、20〜22年分では前年からの繰越額、収入総額、支出総額はいずれも「不明」とした。
萩生田事務所によると、19年以降の支出について「一部の精査が終わっていない」。そのため、20年以降の繰越額なども確定できず、弁護士や都選管と相談して「不明」と記載した。
萩生田氏は1月22日の記者会見で、これまでの支出合計は約955万円と説明。主な使い道は「国会議員、有識者、外国要人、マスコミ関係者との会合」と、「大臣や党政調会長在任時の海外出張で、要人への贈答や会合」だったとした。支出の日時、相手、金額はメモに記録していたが、領収書の一部は廃棄したという。
事務所は、店に問い合わせて領収書を取り直しているとし「外遊先の店などによって領収書が出ないこともあるが、できるだけ丁寧に調べて改めて収支報告書を訂正する」とする。