「#確定申告ボイコット」に岸田首相「国民の厳しい目、強く感じる」 裏金議員と「ダブルスタンダード」野党批判(2024年2月26日『東京新聞』)

所得税の確定申告の時期を迎え、SNS上では、「#確定申告ボイコット」というハッシュタグ(検索目印)とともに、自民党派閥のパーティー裏金事件への対応について、怒りの投稿が飛び交っている。
26日の衆院予算委員会で、岸田文雄首相は「#確定申告ボイコット」が付いた投稿を「承知している」とし、「改めて国民の皆さんの厳しい目を強く感じている」と述べた。(デジタル編集部)

◆「納税は議員の判断」答弁きっかけ

政治資金収支報告書に記載していなかった派閥パーティー券収入のキックバック分のうち、政治活動に使わなかった残額が個人の雑所得とみなされると課税対象になる可能性がある。
SNS上で「#確定申告ボイコット」のハッシュタグが飛び交うきっかけとなったのは、22日に開かれた衆院予算委での鈴木俊一財務相の次のような答弁だった。

「使い残しがある雑所得で、控除で引き切れない部分があるという判断の中で納税をするという方が可能性としてはあると思う。疑義が持たれた政治家が政治責任を果たす、そういう観点から判断されるべきものであると思う」

この答弁が「納税するかどうかは議員の判断」と受け取られ、怒りの投稿があふれた。

◆「政治家だけ特別扱い」国民から怒り

「政治家だけ特別扱いだという強い怒りが飛び交っている」「税金を納めるべき裏金があるのではないかと国民は疑っている」
SNS上で「#確定申告ボイコット」のハッシュタグが付いた投稿

SNS上で「#確定申告ボイコット」のハッシュタグが付いた投稿

質問に立った立憲民主党の城井(きい)崇衆院議員が、「#確定申告ボイコット」の投稿を取り上げ、国民の怒りを代弁した。
「国民の信頼回復に向けて強い覚悟を持って臨まなければならない」と反省を口にした岸田首相だったが、城井氏から「今回の裏金、脱税していませんか?」と問われると、「政治資金については法令に則り、適切に扱われるべきだ」とかわした。

◆「国民には厳しく、自民には優しく」

続いて城井氏は、裏金議員の「不明」だらけの政治資金収支報告書を取り上げた。
「不明」の記載が並ぶ自民党の萩生田前政調会長の収支報告書

「不明」の記載が並ぶ自民党の萩生田前政調会長の収支報告書

裏金事件後に訂正された萩生田光一政調会長政治団体の収支報告書をパネルで示し、裏金分の使途が「不明」と記載されていることに触れ、「確定申告で国民が同じように不明と申告したら認めるのか」と尋ねた。
岸田首相は、認めるかどうかについて言及せず、「一般論として、不明を記載された申告書があった場合、電話や文書で確認させていただくことがある」との国税庁の答弁を支持するにとどまった。
城井氏は「国民の確定申告の取り扱いと、不明でも受理されるダブルスタンダードで運用されると、(国民は)国民には厳しく、自民には優しくと受け止める」と指摘。「今回の裏金は、個人が存在を認識して所有していたのなら個人の雑所得として取り扱い、脱税させず納税させるよう促して」と岸田首相に訴えた。