聴取は安倍、二階両派の国会議員82人と元議員ら3人、6派閥・2グループの事務総長ら計91人に行われ、報告書は自民が依頼した弁護士が議員らの回答を匿名にしてとりまとめた。
議員と元議員ら85人の全てで還流が確認され、総額は2018~22年の5年間で5億7949万円に上り、個別では3526万円が最多だった。
還流の方法は、パーティー券販売収入に関しノルマ超過分を派閥から戻す「還付方式」が53人、議員側で預かるプール方式が16人、両方の組み合わせが16人だった。使い道は、懇親会費や書籍代、人件費、手土産代など15の実例が列挙された。
還流を認識していた32人のうち、安倍派の11人は政治資金収支報告書に記載していなかったことも把握していた。理由について、派閥の指示を受けた対応だったためだとの回答が複数あった。安倍派で還流が始まった経緯について、報告書は「判然としないものの、遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い」と指摘した。
岸田首相(党総裁)は報告書を受け取った後、首相官邸で「あらゆる機会をとらえ、国民の信頼回復に向け、関係者に説明責任を果たしてもらわないといけない」と記者団に語った。政倫審の開催を念頭に置いたものとみられる。