ノーベル平和賞に日本被団協 核兵器廃絶訴え(2024年10月11日『NHKニュース』)

キャプチャ
ことしのノーベル平和賞は、被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協日本原水爆被害者団体協議会が受賞することになりました。核兵器のない世界を実現するための努力と核兵器が2度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことが受賞理由となっています。日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作元総理大臣以来、50年ぶりです。
68年間にわたり核兵器廃絶 世界に訴える活動
日本被団協は、広島や長崎で被爆した人たちの全国組織で、原爆投下から11年後の1956年に結成されました。
当時は、日本のマグロ漁船、「第五福竜丸」の乗組員が、太平洋のビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験で被ばくしたことをきっかけに国内で原水爆禁止運動が高まりを見せていました。
日本被団協は、それから68年間にわたり、被爆者の立場から核兵器廃絶を世界に訴える活動や被爆者の援護を国に求める運動を続けてきました。
東西冷戦のさなか、国連の軍縮特別総会に3回にわたって代表団を派遣し、被爆者が、みずからの体験をもとに「ノーモア・ヒバクシャ」と訴え核兵器の廃絶を迫りました。
また、国連や世界各地で原爆の写真展を開くなど地道な活動を続け、原爆投下から60年となる2005年のノーベル平和賞の授賞式では、ノーベル委員会の委員長が、日本被団協について「長年、核廃絶に取り組んできた」と敬意を表しました。
核兵器の開発や保有などを法的に禁止する核兵器禁止条約の交渉会議では、日本被団協が中心となっておよそ300万人分の署名を集め採択を後押ししました。
その後はすべての国が条約に参加することを求める「ヒバクシャ国際署名」を続けておよそ1370万人分あまりの署名を国連に提出。
また、核兵器禁止条約は2021年1月に発効し、おととし6月にオーストリアで開かれた初めての締約国会議では、日本被団協から派遣された被爆者が核兵器廃絶への思いを訴えました。
近年では新型コロナウイルスの影響や被爆者の高齢化によって被爆体験を伝える催しの中止や縮小を余儀なくされてきましたが、オンラインを活用して被爆者の証言を伝える取り組みにも力を入れています。
ノルウェー・ノーベル平和委員会は、日本被団協の受賞理由について、核兵器のない世界を実現するための努力と核兵器が2度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことが評価され、平和賞の受賞に至ったとしています。
日本のノーベル平和賞は、非核三原則を表明し、NPTに署名をした佐藤栄作元総理大臣が1974年に受賞して以来、50年ぶりです。
受賞理由は
ノルウェー・ノーベル平和委員会は、日本被団協の受賞理由について、核兵器のない世界を実現するための努力と核兵器が2度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことが評価され、平和賞の受賞に至ったとしています。
その上で、広島と長崎の被爆者の証言は世界中で核兵器に対する広範な反対意見を生み出しそれを強化するのに貢献してきた。
被爆者は筆舌に尽くしがたいものを描写し考えられないことを考え、核兵器によって引き起こされた理解を超えた苦痛を何とか理解する手助けをしてくれます。
日本被団協をはじめとする被爆者代表の並々ならぬ努力は核兵器使用のタブーの確立に大きく貢献した。
日本被団協は、何千もの証言を提出し決議や公開アピールを発表し毎年、代表団を国連やさまざまな平和会議に派遣し核軍縮の緊急性を世界に訴え続けてきました。
記憶をとどめるという強い文化と継続的な取り組みにより日本の新しい世代は被爆者の経験とメッセージを継承しています。彼らは世界中の人々を鼓舞し教育しています。彼らは核兵器のタブーを維持することに貢献しています。
被団協 箕牧智之代表委員「本当にうそみたい」
ことしのノーベル平和賞日本被団協日本原水爆被害者団体協議会が選ばれたことを受けて箕牧智之代表委員は、「本当にうそみたいだ」と涙を流して喜びました。
日本被団協の箕牧智之代表委員は、広島市役所でノルウェーオスロで行われたノーベル平和賞の発表の様子をネットの配信を通して見守りました。
日本時間の午後6時ごろに日本被団協がことしのノーベル平和賞に選ばれたことが発表されると「夢の夢。うそみたいだ」とほおをつねって、涙を流して喜びました。
その上で、ともに核兵器廃絶を訴える活動を行い3年前に亡くなった箕牧さんの前の広島県被団協の理事長で、日本被団協の代表委員だった坪井直さんについて「坪井さんのようにこれまで活動してきた被爆者も喜んだと思う。お墓に報告に行きたいと思う」と話していました。
また今後の活動について問われると「引きつづき核兵器廃絶、恒久平和の実現を世界のみなさんに訴えていきたいです」と話していました。
被団協事務局長 木戸季市さん「先輩たちの顔が次々と浮かぶ」
被団協の事務局長を務める岐阜市在住の木戸季市さんは「核兵器禁止条約の採択と発効を被爆者が実現させた。そういう働きに対する受賞だと思う。広島・長崎の反人間的行為から始まって、アメリカからは弾圧され、日本政府から長い間見捨てられた。その心の悩み、苦しみとあらがいながら再び被爆者をつくるなという願いでやってきた先輩たちの顔が次々と浮かぶ」と話していました。
被団協 濱住治郎事務局次長「核兵器廃絶につながっていけば」
日本被団協日本原水爆被害者団体協議会の濱住治郎事務局次長は「最近は受賞が遠のいているのではと思っていたのでまさかという思いだ。先人たちが訴え続けてきた2度と被爆者を作らせない、人類を救いたいという思いが評価されたのだと思う。被爆80年となる中で核保有国はいまだに存在し自分たちの訴えが伝わっていないのではという思いもあったが、今回のノーベル平和賞をただ受賞するだけで終わらせず核兵器廃絶につながっていけばうれしい」と話していました。
被団協 九州ブロック代表理事 中村国利さん「大変うれしい」
1歳の時に長崎市の飽の浦町の自宅で被爆した日本被団協の九州ブロックの代表理事、中村国利さんは、NHKの取材に対し、「大変うれしいです。核兵器禁止条約はじめ、核の非人道性を訴えてこれまでずっと活動してきたのが評価され、こんなにうれしいことはありません。みなさんのご支援のおかげです。これからも核兵器をなくすように、戦争も核もなくすように頑張っていきます」と話していました。
長崎 「高校生平和大使」や被爆者から驚きの声
被団協がノーベル平和賞を受賞することが決まったことがわかると、「高校生平和大使」や被爆者からは、驚きの声が上がり、全員で発表を真剣な表情で見守っていました。
2017年に平和賞受賞 ICAN「たゆまぬ努力続けてきた」
国際NGOICAN核兵器廃絶国際キャンペーンSNSに「おめでとう。広島と長崎の被爆者は核兵器がもたらす壊滅的な影響に対する人々の問題意識を高め、核兵器を廃絶するためにたゆまぬ努力を続けてきた」と投稿し、祝意を示しました。
ICANも2017年に平和賞を受賞しています。
海外メディアも速報で伝える
イギリスのBBCアメリカのCNNなどの海外メディアも日本被団協日本原水爆被害者団体協議会ノーベル平和賞に選ばれたと速報で伝えました。

「本当にうそみたいだ」ノーベル平和賞 被団協 箕牧代表委員(2024年10月11日『NHKニュース』)
 
キャプチャ
ことしのノーベル平和賞日本被団協日本原水爆被害者団体協議会が選ばれたことを受けて箕牧智之代表委員は「本当にうそみたいだ」と涙を流して喜びました。
ほおをつねって「夢の夢。うそみたいだ」
日本被団協の箕牧智之代表委員は、広島市役所でノルウェーオスロで行われたノーベル平和賞の発表の様子をネットの配信を通して見守りました。
日本時間の午後6時ごろに日本被団協がことしのノーベル平和賞に選ばれたことが発表されると「夢の夢。うそみたいだ」とほおをつねって、涙を流して喜びました。
その上で、ともに核兵器廃絶を訴える活動を行い3年前に亡くなった、箕牧さんの前の広島県被団協の理事長で、日本被団協の代表委員だった坪井直さんについて「坪井さんのようにこれまで活動してきた被爆者も喜んだと思う。平和公園の原爆慰霊碑に報告に行きたいと思う」と話していました。
また今後の活動について問われると「引きつづぎ核兵器廃絶、恒久平和の実現を世界のみなさんに訴えていきたいです」と話していました。