同性パートナーの「家族」扱いを事業案内に明記へ 東京23区の職員互助組合 運用変更後も3年周知せず(2024年10月9日『東京新聞』)

 
 東京23区の常勤職員ら約6万7000人が加入する「特別区職員互助組合」は8日、福利厚生事業などで組合員の同性パートナーを「家族」として扱うことを、事業案内に明記して周知することを決めた。既に宿泊や娯楽施設の割引などで、家族の範囲に同性パートナーを含む運用をしているものの、3年余公表していなかった。
 組合によると、23区の職員らは自動的に組合員となり、給与額に応じた組合費が毎月天引きされる。
「特別区職員互助組合」の事業案内冊子。同性パートナーを「家族」として扱うことを明記していなかった

特別区職員互助組合」の事業案内冊子。同性パートナーを「家族」として扱うことを明記していなかった

 運用変更を周知していなかったことは、今月2日の世田谷区議会で判明した。上川あや区議が「情報提供の欠落、実質的に同性カップルの排除を継続してきたことをわびるべきだ」とただし、区職員厚生課の木田良徳課長は「区と互助組合の情報共有が不足し、おわびする。周知方法の見直しなどを申し入れる」と答えた。区の要望を受け、組合は8日の評議員会で対応を検討した。

◆21年度から運用変更していたが…

 世田谷区は2020年、職員の処遇平等を求める上川区議の議会質問を受けて、同性パートナーも対象となるよう組合理事会に提案。検討保留になっていたが、同性カップルを認める「パートナーシップ制度」導入の広がりなどを受け、組合事務局が翌21年度から同性パートナーを家族として扱う運用を始めた。
 だが、事業案内には明記せず、問い合わせがあれば対応することにしていた。組合の伊藤博事業課長は取材に「当時は組合に同性パートナーの定義がなく、PRする段階になかった」とした。

◆全区が条例改正、扶養・住居の手当などは支給対象に

 23区職員の処遇では、給与制度などを調整する「特別区人事・厚生事務組合」が昨年、扶養や住居の手当などについて、同性パートナーも配偶者と同等とみなして支給するよう各区に通知。全区が条例改正し、支給対象に「パートナーシップ関係の相手方」を加えた。(奥野斐)