夫婦別姓、「女系天皇」に懸念も派閥弱体化が追い風 総裁選「一本釣り」で石破茂氏が勝利(2024年9月27日『産経新聞』)

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自民党総裁選後の両院議員総会で握手を交わす石破茂新総裁(右)と岸田文雄首相(中央)。左は麻生太郎副総裁=27日午後、党本部(鴨川一也撮影)
自民党石破茂元幹事長が27日、「5度目の正直」で新総裁に選出された。これまでは国会議員票の獲得に苦しんだが、「政治とカネ」の問題で派閥の縛りが弱まったことが追い風になった。
都道府県連主催の講演会でも引っ張りだこの石破氏は当初、勝敗を分けるポイントは「地方票の出方次第」と語っていた。しかし、過去の総裁選では、歯に衣着せぬ発言が反発を招き、議員票が伸び悩んだ経緯がある。選挙戦序盤で地方票で手応えを感じると、「次は議員票だ」と強調した。
象徴的だったのが党内に一定の影響力を持つ岸田文雄首相へのアプローチだ。25日に経済政策に関する会見を開き、「岸田政権の成果を引き継ぐ」と繰り返した。また、27日の決選投票前の演説では「嫌な思いをされた方が多かったかと思う」と謝罪を口にした。
パーティー収入不記載事件を受けて派閥の影響力が低下し、「一本釣り」が可能になったことも奏功した。かつては無派閥議員への働きかけが中心だったが、「石破氏が支援を求めて電話をかけられる範囲が格段に広がった」(選対幹部)。
とはいえ、選択的夫婦別姓制度導入への賛意や、前例のない「女系天皇」を排除しない考えを示したことを警戒する保守層は今も少なくない。ごり押しすれば衆院選参院選で岩盤支持層を失う可能性がある。(末崎慎太郎)

新総裁の石破氏 政治とカネに厳しく、選択的夫婦別姓賛成、外国人材受け入れ「進める」(2024年9月27日『産経新聞』)
 
27日投開票の自民党総裁選で新総裁に選ばれた石破茂元幹事長(67)は、派閥パーティー収入不記載事件に関し「党として厳しく臨む」と語り、各社の世論調査でも「政治とカネ」の問題を重視する層から支持されている。
選択的夫婦別姓については、制度導入に賛成の考えを示し、「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」と語る。
また、エネルギー政策については出馬会見で「原発をゼロに近づける努力を最大限する」と他候補と一線を画す姿勢を示したが、12日の告示後は「安全性を最大限に高め、引き出せる可能性は最大限に引き出すのは当然だ」とも語るようになった。再生可能エネルギーである地熱や小水力発電の可能性を引き出すとしている。
一方、外国人材の受け入れについては、総裁選の9候補を対象に共同通信20日集計した政策アンケートで「国内の雇用・労働環境への影響に配慮して進める」と回答している。