衆院解散「なるべく早くご審判を」 石破茂・自民党新総裁会見(2024年9月27日『東京新聞』)

 
自民党総裁選を制した石破茂新総裁(67)が27日午後6時から、東京都千代田区自民党本部で記者会見し、「できるだけ早く(国民の)審判を賜らなければならない」と速やかに総選挙に臨む考えを示した。会見の内容を速報する。(デジタル編集部)
自民党の新総裁に決まり記者会見する石破茂氏=9月27日午後、自民党本部で(平野皓士朗撮影)

自民党の新総裁に決まり記者会見する石破茂氏=9月27日午後、自民党本部で(平野皓士朗撮影)

◆「ルールを守る」

裏金問題に揺れる自民党。石破氏は冒頭発言で「ルールをきちんと守る政党でなければならない」と強調したうえで、ルールを「守っているかどうかということが、きちんと国民の皆様方に検証されるような、そういう仕組みを作っていかなければならない」と語った。
安全保障や人口減少問題、地方活性化などにも触れた上で「皆が安心で安全で、そして1人1人に笑顔が戻ってくる。悪口を言い合うのではなく、足を引っ張り合うのではなく、みんなが笑顔で暮らせる、安心して暮らせるそういう日本国を作る」と抱負を述べた。
主な質疑応答は以下の通り。

自民党の新総裁に決まり記者会見する石破茂氏=9月27日午後、自民党本部で(平野皓士朗撮影)

自民党の新総裁に決まり記者会見する石破茂氏=9月27日午後、自民党本部で(平野皓士朗撮影)

◆できるだけ早く審判

━総理に就任された後、衆院解散はいつ行う考えか。裏金事件で処分された国会議員を公認する考えか。
「今回の総裁選でいろんな議論があったが、やはり野党の方々とも、論戦を交わした上でご判断をいただきたい。しかしながら、なるべく早くご審判を賜らねばならない。その二つを合わせて適切な時期を判断をして参りたい」

◆裏金議員の公認は「選対で判断」

━裏金事件の処分された議員の公認は。
「公認は選挙対策本部で決定をする。それぞれの選挙区の事情、公認をすることは、当選の可能性ということが、大きな判断材料になってくる。そういうことを踏まえ、選挙対策本部で適切に議論して判断することになるが、公認権者は総裁たる私だ。公認するにふさわしいという説明責任は、公認権者たる私もきちんと果たしていきたい」

◆人事構想は

━人事構想について。総裁選で戦った他の8候補を要職に起用する考えはあるか。
「いろんな方の持っている能力、それを最大限に発揮をするような人事を行っていく。今回総裁選をともに戦った8名の方、それぞれ立派な識見をお持ちで、立派な政治姿勢をお持ちの方ばかりだ。ともに戦った方を、それぞれの最もふさわしい役職にお願いをするということは当然のことだ」
━今後、党内をどうまとめていくか。
「国政選挙、来年は東京都議会議員選挙もある。みんなが一丸にならなければ勝てない。一つ一つの選挙に全力を尽くしていくということが党をまとめることにつながると考えている」

地位協定の見直しは

━外交・安保政策について。総裁選では、日米地位協定の改訂やアジア版NATOの創設に意欲を示した。いつ米国政府に提起し、米国政府の理解をどのように得ていく考えか。アジア版NATOの創設を提唱は、日米同盟だけでは抑止力が不十分だとの認識を持っているのか。
「冷戦終結後、ドイツ、あるいはイタリアであるとかは、地位協定の改訂に取り組み、実現をさせた。我が国は運用の改善ということで努力をしてきた」
「わが党の沖縄県連が、地位協定の改訂と。沖縄からそういう声が出ているということを私は等閑視すべきだと思っていない」
「対等な地位協定というのは何かというと、それは韓国とか、あるいはヨーロッパ諸国とか、それと比べてみても、元になる安全保障条約が違うので、そのことにあまり意味があると私は思っていない。今まで他国がどのように地位協定を改定してきたかということをきちんと検証する」

◆米国に自衛隊の訓練基地

「米国に自衛隊の訓練基地を作るということは極めて有効なことだと思っている」
陸上自衛隊航空自衛隊は国内で最大の能力を発揮するような、そういう訓練がなかなかできない。航空自衛隊の飛行機は日本の上空というものを、領土上空というものを十分に飛ぶことができない。そういうことになると、米国において陸上自衛隊航空自衛隊がその持てる能力を最大限に発揮するような、そういう訓練基地というのは、ドイツは設けているが、日米同盟強化のためには有効なものだと考えている」

◆アジア版NATO

「アジア版NATO(について)。集団安全保障の本質は義務だ。集団的自衛権というのは、その言葉の通り『権利』だ」
「いかにしてこの地域において平和というものを構築していくかということについては、国は主体的な責任を果たしていくべきだと私は認識をしている」

能登の豪雨対策は予備費で、物価対策は補正で

━石破新総裁は経済にそれほど強くないんじゃないかというイメージもあると思うが、経済対策として最初に何を打ち出すのか。物価高対策か、補正予算か。
補正予算については、各党、特に自公でお話をしていかなければいけない。喫緊の課題は能登の震災、直近の豪雨対策だが、補正予算の編成を待っているわけにもいかないので、基本的に予備費で対応したい」
補正予算についてこれから自民党の中で、あるいは自公でよく話をしていきたいと思っている。当面の物価高に対応していかねばならない」

自民党の新総裁に選出され、両院議員総会であいさつるす石破茂元幹事長(右)=9月27日午後、自民党本部で(佐藤哲紀撮影)

自民党の新総裁に選出され、両院議員総会であいさつるす石破茂元幹事長(右)=9月27日午後、自民党本部で(佐藤哲紀撮影)

選挙制度改革は

選挙制度改革について、(人口の少ない隣接県を1つの選挙区にする)「合区」はいつごろにまでに解消したいか。
「党として、憲法改正によって合区を解消したいということを掲げている。この合区というものが、このままどんどん全国に拡大するということがあっていいと私は思っていない」
憲法改正によらなくても、合区の解消は可能なのかという議論は党内でもある。物事の喫緊性というか、急ぐということに鑑みて考えれば、どうすれば有権者が政治に対するアクセスが可能になるのかということもあわせて、合区の解消というものはできるだけ早くやりたいと考えている」

◆10月1日に首相に

石破氏は1回目の投票で高市早苗氏(63)に続く2位だったが、決選投票で215票(議員票189、地方票26)を獲得し、194票(議員票173、地方票21)の高市氏を破った。石破氏は10月1日召集の臨時国会で、岸田文雄首相の後継となる第102代首相に指名される。