安定的な皇位継承、与党公約は触れず 維新は男系堅持、立民「女性宮家」創設に意欲 政策を問う①(2024年10月16日『産経新聞』)

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主要政党の公約などにおける皇室の諸課題に関する主張
安定的な皇位継承や皇族確保の議論が急務となる中、今回の衆院選は皇室をめぐる諸課題への各党のスタンスを見極める選挙にもなる。しかし、自民党公明党政権公約や重点政策で見解を載せておらず問題意識の低さが浮き彫りとなった。
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保守政党の矜持どこに
政府の有識者会議は令和3年の報告書で、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案や、養子縁組による旧皇族の男系男子の皇室復帰案などを打ち出した。現在は報告書をベースに立法府の見解をまとめるための議論が国会で行われている。
自民にとって報告書公表後初の衆院選となるだけに、公約で皇室に触れなかったことは保守政党としての矜持が問われかねない。
石破茂首相は自民総裁就任直前の産経新聞のインタビューで、「個人として男系男子で継承されるべきだと考えている」と明言。8日は国会で「立法府の総意が早期に取りまとめられるよう、国会での積極的な議論を期待する」と答弁した。
公明は今年4月、有識者会議の報告書に沿った意見書を衆参両院議長に提出。養子縁組後に婚姻した配偶者とその子は「皇族となることが考えられる」と記した。
■野党は女性宮家創設、男系継承堅持など主張
皇位の安定的継承と女性宮家の創設に向けて、(立憲民主党の検討委員会がまとめた)『論点整理』に基づいて、拙速にではなく、丁寧に国民の総意を作っていくための議論を行う」
政策パンフレットでこう訴えたのは立民だ。「女性宮家」が認められれば女性皇族が婚姻後、当主として皇室にとどまる。当主の子が宮家を引き継ぐことになれば前例のない「女系天皇」誕生への糸口となる。
野田佳彦代表は「女性宮家」創設に強いこだわりを持つが、立民内は一枚岩ではない。男系維持派も少なくなく、論点整理では「歴史と伝統の尊重」とも明記された。
日本維新の会は基幹政策で「古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重みを踏まえた上で、国民的理解を広く醸成しつつ丁寧な議論を率先する」と記した。皇室の歴史に整合的かつ現実的であるとして、養子縁組案を「第一優先として、皇室典範の改正に取り組む」とも強調した。伝統的な男系継承堅持を求める保守層を自民から奪う狙いも透ける。
国民民主党も男系継承を重視している。政策パンフレットでは、女性皇族の婚姻後の皇族身分保持案、養子縁組による旧皇族の男系男子復帰案とともに有識者会議が報告書で触れた皇統に属する男系男子を法律によって直接、皇族とする案も採用し「皇族数の確保および皇位継承者の確保を進めるべきだ」と記した。
共産党は総選挙政策で皇室に関する見解を示さなかったが、これまでに女性天皇や「女系天皇」を認める意向を明らかにしている。(内藤慎二)