自民、単独過半数割れの可能性 衆議院選挙・序盤情勢(2024年10月16日『日本経済新聞』)

衆議院選挙2024
日本経済新聞社は27日投開票の第50回衆院選について世論調査を実施し、序盤情勢を探った。自民党は定数465の衆院過半数にあたる233議席に届かない可能性がある。自民の単独過半数割れとなれば民主党政権交代した2009年衆院選以来となる。派閥を巡る政治資金問題など政治不信の強さが浮き彫りになった。
全国で15、16両日に電話調査し取材を加味して情勢を分析した。小選挙区で2割ほど、比例代表で1割ほどが態度を決めておらず流動的な要素は残る。
自民は全289選挙区のうち議席獲得が「有力」だったのは3割ほどにとどまった。全国11ブロックで争う定数176の比例代表も前回21年に獲得した72議席を下回る見通しとなった。
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合計の議席数で公示前勢力の247議席に及ばない公算が大きい。自民は政権に復帰した12年衆院選から4回続けて単独で半数を超す議席を得てきた。
自民の候補者が他党の候補者と接戦を繰り広げ、「優勢」または「可能性」がある状況と判断した選挙区は100超ある。全体の4割ほどあるこうした接戦区の情勢次第で獲得議席の数も変わってくる。
公明党は公示前の32議席を下回る可能性がある。小選挙区で4人が立候補した大阪で日本維新の会の候補者を追う構図となっている選挙区がある。
自民、公明両党とも「与党で過半数」を勝敗ラインに掲げる。立憲民主党は「自公の過半数割れ、比較第1党」を目標とする。
立民は公示前勢力の98から議席を伸ばす勢いだ。小選挙区は北海道や東京、愛知などで複数の「有力」または「優勢」な選挙区がある。維新は大阪など関西圏に「有力」または「優勢」な選挙区が集中しており、他の地域では苦戦もみられる。
共産党比例代表で公示前の9議席を維持する可能性がある。国民民主党は公示前の7議席を上回る見込みになっている。れいわ新選組議席の伸長、参政党は衆院選で初の議席獲得が視野に入る。社民党は公示前の1議席を確保できるかが焦点となる。
野党は立民、維新、共産、国民民主の4党などで小選挙区の候補者のすみ分けが十分に進まなかった。与野党の候補者が一騎打ちの構図になっている選挙区は2割ほどにとどまり、野党候補が共倒れする選挙区も一定程度ある見通しだ。
▼調査の方法
調査は読売新聞社と協力して実施した。基礎データのみ両社で共有し、集計、分析、記事化はそれぞれが独自にした。
有権者への調査は日経リサーチが15〜16日、乱数番号(RDD)方式で無作為に作成した固定電話と携帯電話の番号に調査員と自動音声による電話をかけた。1つの小選挙区内で500人以上の有効回答を得るのを目標とした。調査員と自動音声の合計で16万5820人から有効回答を得た。
政党別の獲得議席数は過去の調査と投票結果との関係から予測モデルをつくり、シミュレーションで獲得する可能性のある議席の幅を推定した。この結果に取材による情勢判断を加えて最終的な予測議席数とした。