ブラックマンデー超えの株価急落、崩壊か持ち直しか…「過剰反応」「本質的に違う」と指摘も(2024年8月6日『読売新聞』)

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下落した日経平均株価と1ドル=141円台を示す街頭モニター(5日午後、東京都中央区で)=高橋美帆撮影
 日本の株式市場は、これまでも大きなショックに見舞われてきた。日経平均株価(225種)は5日の急落で下落幅のワースト記録を更新したが、市場からは「日本経済の実体を反映した株安ではない」との声が上がった。
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 これまで日経平均の下落幅ランキングのトップだったのは、米株式相場の大暴落「ブラックマンデー」を受けた1987年10月20日(3836円48銭安)だ。
 ブラックマンデーは、財政、貿易の「双子の赤字」にあえぐ米経済の先行き不安を背景に、投資家が一斉に株を売ったことが原因だった。米株急落は世界に連鎖したが、バブル景気にあった日本経済を反映し、日経平均はその後持ち直した。89年12月には、当時の史上最高値(3万8915円87銭)を記録している。
 バブル経済の崩壊を受け日経平均は90年には年間1万5067円も値下がりした。4月2日の1978円、2月26日の1569円は、今も下落幅の上位に残る。
 90年代後半から、インターネットの普及に伴うITブームが起こったが、2000年4月の高値(2万833円)を境に過度な期待が剥がれ落ち、株価は急落した。「ITバブル崩壊」などと呼ばれる。
 08年には「リーマン・ショック」が起きた。米国の金融危機が世界経済に波及し、日本の強みである製造業の業績が悪化、09年3月10日には日経平均バブル崩壊後最安値の7054円98銭に沈んだ。20年にもコロナ禍による急落があった。
 今回の株安について、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は、「世界金融危機や日本発の地政学リスクが起こったわけではなく、過剰反応だ。投機的な動きもみられ、今までの急落とは異なる」と述べた。野村総合研究所木内登英氏も「ブラックマンデーリーマン・ショックとは本質的に違う。世界金融危機という様相は今のところ強くない」と指摘した。