“株価暴落”どう受け止めたか 大手企業や NISA始めた市民は(2024年8月5日『NHKニュース』)

週明けの5日の東京株式市場、日経平均株価終値は4400円を超えるかつてない急落となりました。

過去最大を記録したこの下落を、大手企業やまちの人はどう受け止めたのか、まとめました。

伊藤忠商事「“悪化”と判断するのは少し早い」 

伊藤忠商事 鉢村剛 CFO

日経平均株価が急落したことについて、伊藤忠商事の鉢村剛CFOは「線状降水帯の暴雨にぶちあたったようだ。ただここがターニングポイントになって、すべてが悪化する状況と判断するのは少し早いのではないかと思っている。消費に与える影響がどれだけ大きくなるか、また企業の投資に対する意欲をどれだけ損なうかをしっかり見ないといけない」と述べました。

また、外国為替市場で急速に円高が進んでいることについては「1ドル=140円は想定の範囲内だったので、それほど極端に為替の影響を気にする必要はない。しかし、急速に円高が進めば景気が悪くなっていくという見方も含め、消費への影響は気になる部分だ」と話していました。

日本郵船「影響は非常に読みづらい」 

日本郵船 曽我貴也 社長

株価の急落について、日本郵船の曽我貴也社長は「我々の業績に与える影響は非常に読みづらいのが正直なところだ。株価は日本やアメリカで下落したが、決して日本のファンダメンタルズが変わっているわけではないし、日本の実体経済が強くなっている途中であるとの見方をすれば、いまの株価の落ち込みは一時的なのかもしれない」と述べました。

一方で、外国為替市場で円高ドル安が急速に進んでいることについては、「日本からの輸出品を扱うときに輸出がものすごく弱くなるかというとそこは大きな影響があるとはいまは思っていない」と述べ、業績への影響は国内外の経済状況や金融市場の動向を見ながら総合的に判断していく必要があるという考えを示しました。

JFEホールディングス「若干 行き過ぎている」 

JFEホールディングス 寺畑雅史 副社長

鉄鋼大手のJFEホールディングスの寺畑雅史 副社長は5日の決算会見で「先週金曜日もかなり下がったのできょうはどう変化するのかと思ったが、こういう形になって非常に驚きをもって受け止めている。アメリカの景気の動向や円高が日本企業に与える影響などいろんなことが言われているが、若干行き過ぎている部分があると思うので、早く落ち着いて安定してもらいたい」と述べました。

また、東京外国為替市場で急速に円高が進むなど為替が変動していることについては「急激な変化は企業活動や国民生活、日本経済への影響が懸念されるので、一定水準で安定的に推移していく形が望ましいと思っている」と述べました。

「NISAやっているので不安…」まちの声は

日経平均株価の下落幅が過去最大となったことについて、東京 新橋では、さまざまな声が聞かれました。

「ここまでの振れ幅は想像しておらずびっくりしている。NISAもやっていますが、そこは動じないようにしています。職場でも『どうなっちゃうんだろう』と株価の話ばかりしています」(30代男性 会社員 IT関連)

「NISAをやっているので不安はあります。ただ、こればかりは、それも踏まえての投資なので長期で見ていきます」(50代女性)

アメリカの雇用統計の一時的な悪化で株価が下がっているだけならいいですが、2万円台まで下がってしまうと怖い。景気がよくなっていた分、株価が下がることで景況感が悪化してしまうと心配です」(40代男性 イベント関連企業)

名古屋市中心部の証券会社などが集まる地区では、景気の先行きなどに対する不安の声が聞かれました。

「NISAをやっているのでこの先どうなるかすごく不安です。景気が悪くなったり物価が上がったりすると生活にダイレクトに影響してくるので心配です」(40代男性 会社員)

「きょう1日でこれだけ下がると日本経済は大丈夫かなと思ってしまいます。せっかくコロナ禍が終わって景気が上向いてきた時に冷や水を浴びせるような感じです」(50代男性 会社員)

「株に興味はありますが、こういうニュースを見ると挑戦するのも怖いなという気持ちが出てきます。経済的な面で自分たちがもっと年をとった時まで影響が続くと生活にも関係してくると思う」(23歳男性)

証券会社「顧客はベテラン多く 冷静に受け止め」

名古屋市中区に本店を置く「岡地証券」では5日午後、顧客の投資家から今後の株価の見通しやほかの投資家の動向などに関する問い合わせの電話が相次ぎ、営業担当の社員が対応に追われました。

この会社の顧客は50代以上の個人投資家が中心で、今のところ市場の推移を見守ろうという人が多く、中には値下がりした株の購入を検討している人もいるということです。

1986年に入社し、入社2年目にブラックマンデー翌日の株価急落を経験したという川合雅也 営業本部長は「ブラックマンデーの翌日は朝から株の値段が付かずに株価が下がっていった記憶があるが、今回の場合は値段がつきながら下がっているので、個人投資家でも下がったところをチャンスと捉えて株を買おうという意欲がある。当社の顧客はベテランが多いので、こうした急落は何年かに一度はあることと冷静に受け止めている人が多い」と話していました。

6日 自民と立民が国対委員長会談

株価の急落を受けて、自民党の浜田国会対策委員長立憲民主党の安住国会対策委員長が6日午前会談し、今後の国会対応などについて協議することになりました。

立憲民主党は国会で政府と日銀が説明を行うよう求めるものとみられます。