小学5年生の請願、大和市議会が全員賛成で採択…市の計画に「子どもの意見反映」求める(2024年6月29日『読売新聞』)

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 神奈川県大和市議会は27日、6月定例会最終日の本会議で、市内の小学5年生、荒谷愛架さん(10)が提出した請願を全員賛成で採択した。「こども基本法」(昨年4月施行)に基づく同市こども計画を策定する際、子どもの意見を反映させることや、定期的な「こども会議」の開催などを求める内容で、子どもの請願が採択されるのは異例。
 採択を受け、荒谷さんは「近い将来、学校の『変な当たり前』が変わってほしい。『子どもにはこんな権利があるんだ』と多くの人たちに知ってもらうため、大人も子どもも参加し、『子どもの権利条約』について学び合う場ができるといい」と語った。
 
 同市こども総務課は「大和市こども計画の策定に取り組んでいきたい。計画案の策定にあたっては、子どもの意見を聞く機会を確保するように努める。その手法については、今後、検討していきたい」としている。
 
大和市子ども計画の策定と子ども会議の開催を求める請願書
紹介議員
堀合 研二郎 山田 己智恵 星野 翔 堀口 香奈 高久 良美 吉田 奈々 布瀬 恵 石田 裕 
 
【請願の趣旨】
現在、子どもには自分たちに関わることであっても決定権がないと私は強く感じています。
子どもの権利条約第3条「子どもにとってもっともよいことを」とは、子どもに関わるあらゆることを決めるときは、大人のみで勝手に決めるのではなく、子どもの意見を聞いて、お互いに話し合ってから決めるということです。また、第12条「意見を表する権利」とは、子どもは自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表する権利を持っていて、その意見は子どもの発達に応じて十分に考慮されなければならない、ということです。
国連の定める子どもの権利条約は、憲法98条第2項と子ども基本法第3条(基本理念)第11条(子ども施策に対する子も等の意見の反映)により日本でも国内法になっています。
憲法第98条第2項 日本国が締結した条約及び確率された国際法規は、これを誠実に順守することを必要とする。
子ども基本法第3条第3項 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保される
こと。
第4項 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。
子ども基本法第11条国及び地方公共団体は、子ども施策を策定し、実施し、および評価するに当たっては、当該子ど
も施策の対象となるこども又はこどもを療育する者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
でも、子どもが意見を表し、それを反映していく仕組みが大和市にはあるのでしょうか。去年、私は集団登校のおかしなところについての要望を大和市の市長、教育長、中央林間小学校の学校長、PTA会長、校外委員長にお手紙を出しました。読んでいただいたと思いますが、私の意見が反映されたのか、されなかったのかよく分かりませんでした。さらに、子どもからの問題提起であったことが学校内でも、生徒にも、教育委員会などにも周知されませんでした。これでは子どもを一人の人間として認めているとは言えません。子どもが意見を持っても無駄だと思わせるような仕組みを今すぐに変えてください。意見を持った子どもが参加する「場」、意見を言える「環境」、意見を聴く大人の存在と、その意見が反映される仕組みをつくってください。
大和市ではどれくらいの大人が「子どもの権利条約」を知っているでしょうか。子どもの私に何ができるかと考えると、それはこの請願書を提出することでした。大和市内で「子どもの権利条約」を大人にも子どもにも知ってもらう場をつくってほしいです。そして、子どもも「一人の人間として人権(権利)を持っている」ことを知ってもらい、その権利を守っていくために大人と子どもが一緒に話し合ったり意見を交換したり、子どもの意見がその後の自分たちに関する決め事に反映するための仕組みの一つとして、定期的な「子ども会議」を開催してください。
子どもの権利条約の理念を大和市で実現していくために、大和市子ども計画を策定してください。
計画を策定する際には、子どもの意見を直接言える場を設け、その意見を計画に反映してください。
大和市の子どもの大切な権利を守り、子どもの参加の仕組みをつくり、子どもの意見が反映される仕組みを具体的に整備していくようここに請願いたします。
【要請事項】
1)子ども基本法に基づく大和市子ども計画を策定してください。
策定する際には、子どもが意見を言える場を設けてください。また、その意見を計画に反映してください。
2)定期的な「子ども会議」を開催してください。
3)こども会議に限らず、意見を持った子どもが参加する「場」、自由に意見を言える「環境」、意見を聴く大人の存在と、その意見が反映される仕組みをつくってください。