もはや1位に近い2位ではなく、3位に近い2位か、3位転落もありえそうだ。
6月20日の公示日直後に政界関係者の間で出回った“自民党調査”なるデータでは、小池氏が10ポイントのリード。日本経新聞社の選挙戦序盤の情勢調査でも「小池36 蓮舫26」と両者の差は10ポイントあった。
都知事選は1947年から2020年まで現職が12戦無敗。現職の都知事で敗れた候補はこれまでにいない。小池氏は4年前の選挙で366万票を集め、歴代2位となる得票記録を持っている。自民党、公明党、国民民主党、都民ファーストの会が小池氏を事実上支持しており、今回も「250万票は固い」と目されている。
「日を追うごとに石丸伸二氏(41)に追い上げられており、小池氏に勝つどころか、『2位を死守』と目標が下方修正されている。情勢調査は各社で割れているが、日テレの調査とされる『小池43 蓮舫19 石丸16』という数字が実態に近いと感じる。6月30日(日)までの期日前投票のデータとしてNHKが算出したとされる数字では『小池45 石丸25 蓮舫20』と石丸氏に抜かれていた。すでに陣営では、責任を都連会長と幹事長に押し付けようという動きが出始めている」
「鈴木烈都議と五十嵐えり都議という、立憲の中でも左派の二人が中心となって草案を作り、党政調の職員、国会議員秘書が肉付けを行った。時々、蓮舫さんがやってきて『ペット殺処分ははずそう』『行財政改革は強調』など意見を伝え、7つの約束ができあがった。ただ、数値目標はなく、多子世帯を住民税非課税世帯のように扱うなど、立憲のステレオタイプな公約ばかりが並んでいた。都の現状や問題がわかっておらず、都の幹部が作った小池氏の公約と差がでた」
「蓮舫氏は人が多い中央線沿線を中心に演説している。しかし、話の内容は若者支援や非正規の格差解消。聴衆に響かせたいのなら、23区内でも平均所得の高くはない地域で演説すべきだった。立憲、共産党、社民党の3党で取れると目されるのは140万票程度。浮動票を上乗せしないと小池氏には勝てない。ところが、浮動票は人気急上昇中の石丸候補がさらっている。反小池票も石丸候補にもっていかれるという体たらくだ」
「ただ、小池氏にも危うさはある。粛々と選挙戦をこなせばいいのに、八丈島や奥多摩でフリージャーナリストにカイロ大学歴詐称疑惑などを追及されてイラつきをかくせなかった。八丈島空港では思わず『つばさの党の人?』と切り返していた。あまり話題にならなかったが、この手の舌禍事件は避けたい」(都民ファーストの会幹部)
現状で3位につけていると見られる石丸氏は7月1日、雨の平日夕方にもかかわらず阿佐ヶ谷駅周辺をたくさんの聴衆で埋めた。ただ、彼の演説はゆっくり丁寧だが、スローガンばかりで具体策は乏しい。話術でいえば、小池氏や蓮舫氏のほうが巧みだ。
「演説は下手だけど、そこが永田町に染まっていないようで新鮮に映るのではないか。私も20代から150近くの選挙に携わってきたが、ボランティアが5000人も集まった候補を見たことがない。お金をかけずにポスターを公営掲示板に貼れたうえ、献金は2億円も集まった。予想外のことが次々と起きている」
永田町で「選挙の神様」「当選師」との異名を誇る石丸陣営の選挙プランナー、藤川晋之介氏(70)は困惑しつつも、こう断言した
「150万票は見えてきた。2位は蓮舫さんではなく石丸でしょう」
取材・文・写真:岩崎大輔
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