7月から須賀川市で遠隔手話サービス開始 当事者・支援者の念願叶う(2024年6月28日『あぶくま時報』)

 
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    内山さんの米づくりを学ぶ参加者たち

 福島県須賀川市の遠隔手話サービスは7月1日からスタートする。聴覚障がい者と市役所社会福祉課などの通訳者をビデオ通話で接続し、通訳者を介したリアルタイムな意思疎通が可能となることで、誰もが自分らしく生きられる社会の実現につなげる。
 橋本克也市長が28日の定例記者会見で発表した。
 対象者は市内在住の音声による通話が困難な聴覚に障がいを持つ人などで、事前の登録申請が必要となる。
 利用時間は平日午前8時半から午後5時15分まで(12月29日から1月3日除く)。市役所に配置した2人の職員や、場合によって登録した派遣通訳者12人が対応する。
 遠隔手話サービスの実現により、例えば病院を受診する際、手話の通じない医療従事者とのやり取りに対し、画面越しの通訳者を介してコミュニケーションを図ることなどができるようになる。
 また来庁が難しい場合の市役所における手続きや、災害時の安否確認等にも活用が想定される。
 市は「手話は言語である」という認識に基づき、2019年4月に手話言語条例を制定し、手話を必要とする人が手話を使いやすい環境の整備などを進めてきた。
 須賀川地方聴力障害者会と手話サークルあゆみ会は2021年から要望を繰り返してきた同サービスの実現を歓迎している。
 要望の背景にはコロナ禍や様々な自然災害があった。特にコロナ禍は対面での通訳活動ができないというこれまでにない困難を当事者や支援者に突きつけ、この課題解決が急務となっていた。
 あゆみ会の会員は「ろう者の生活と権利を守ることは言語権の保障でもあり、私たちにとってまさに手話は命です。これからも『要求のないところに福祉は育たない』という気持ちで、ろうあ者の暮らしに学びながら、安全・安心に暮らせるより良い須賀川市にしていきたいです」と述べた。