山口県柳井市は、聴覚障害のある人が暮らしやすい社会を目指し、手話言語条例を施行した。子どもの頃から手話に関心を持ってもらうため学校の授業で触れる機会をつくる。手話通訳者を増やす具体的な方法も検討する。
施行は1日付。条例は、聴覚障害のある人がコミュニケーション手段として使う手話を言語と定める。市民が手話や聴覚障害者への理解を深めるために市が取り組むべき方針を示している。
市内の一部の小学校は総合学習の時間で既に手話に親しむ授業をしている。市は、同様の授業が他の小学校にも広がるよう取り組む考え。
手話通訳者が高齢化している現状を踏まえ、人材確保も目指す。市は養成講座や試験を受ける市民を対象に、費用面などの支援策を検討する。聴覚障害がある乳幼児が、成長の早い段階で手話を学び、言語を獲得できるよう、保護者の相談体制を整える。
市は2022年に柳井ろうあ協会と地元の手話グループから条例制定の要請を受け、話し合ってきた。条例案を今年3月の市議会定例会に提出し、可決された。同協会の木村幸生会長(63)は「うれしく思う。手話を市民が理解する取り組みが広がれば」と願う。
県内では同様の条例を県と岩国、周南、山口、萩、山陽小野田、下関の各市が定めている。(山本祐司)