「外交と内政は一体不離」と語ったのは…(2024年6月15日『毎日新聞』-「余録」)

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第1回主要国首脳会議(ランブイエ・サミット)の開幕前に、ジスカールデスタン仏大統領(左)と会談する三木武夫首相=パリ郊外のランブイエ城で
 「外交と内政は一体不離」と語ったのは「所得倍増」を打ち出した池田勇人首相だ。政策を実現し、国際的地位の向上につなげようと考えたという。「トランジスタの商人」と皮肉られた逸話も残るが、戦略は間違いではなかった
▲米国に次ぐ経済力を身につけた日本は、石油ショックを受けてジスカールデスタン仏大統領が提唱した首脳会議に招かれた。1975年のランブイエ・サミット(主要国首脳会議)だ。「大国」扱いは戦後初といわれた
▲2回目からのカナダの参加でG7になったサミットは国際政治に大きな影響力を発揮してきた。ウクライナとガザで戦闘が続く中、ゼレンスキー大統領も赴いたイタリアに注目が集まったのは当然だろう
▲過剰な期待は禁物だったかもしれない。米政治メディアは「6人のレームダック(死に体)」の見出しを掲げた。支持率低迷が続く岸田文雄首相ら内政に苦しむ首脳ばかりで元気なのは議長国イタリアのメローニ首相ぐらいだ
▲それでもG7以外に課題解決に向けて論議し、具体的な方策を示せる場が見当たらないのも現実である。国連安保理や主要20カ国・地域(G20)の枠組みは国際社会の分断で十分に機能していない
メルケル前独首相とトランプ前米大統領が対峙(たいじ)した6年前のカナダでのサミットを思えば、協調はより容易だったろう。途上国中心のグローバルサウスもG7の力量を見ている。ウクライナやガザを平和に導くために何ができるのか。知恵を絞り、結束を続けてほしい。