【証拠入手】蓮舫氏にまたブーメラン直撃…立憲同僚議員の政治資金「脱法行為」が見つかった!(2024年6月12日『現代ビジネス』)

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 〈(過去に自民党の)女性新人議員3人が国会内が撮影禁止にもかかわらず予算委員会が始まる直前に自席でお互いの写メを撮り合い、大問題になった〉。
 2022年、立憲民主党蓮舫参院議員がSNSにこんな投稿をして噛みついた。ところがその直後、ネット住民らによって、自身も国会内でファッション誌の撮影を行っていた過去を蒸し返されて――。
 国会での舌鋒鋭い質疑などで自民党を追及したかと思えば、一転して、自らの過去の言動との整合性が問われてしまう。こんなことを繰り返す彼女のことが、とにかく嫌いな保守系の言論人やメディアから“ブーメランの女王”と呼ばれる所以だ。
 ところが今度は、蓮舫議員が放った「ブーメラン」が、こともあろうに立憲の同僚議員を直撃したというのである。
「合法だけど脱法」と糾弾したが…
 まず、蓮舫議員が力強くブーメランを投げつけたのは、3月4日の参院予算委員会でのことだった。
 「蓮舫議員は、自民党茂木敏充幹事長、新藤義孝経済再生担当相、小泉龍司法相がそれぞれ関わる政治団体の間の資金の流れを取り上げ、『合法だけど脱法』『政治資金の隠蔽じゃないですか』と迫りました。3人は共通して、おカネの使途の公開基準が厳しい国会議員関係政治団体(以下、関係団体)から、基準が緩いその他の政治団体(以下、その他団体)に、多額の政治資金を移動させていた。
 たとえば茂木幹事長の場合、'22年までの10年間で、関係団体からその他団体に約3億2000万円が付け替えられたといいます。その上で蓮舫議員は、資金移動前は支出の明細の95%が明らかだったにもかかわらず、移動後は7%まで低下していると指摘したのです」(全国紙政治部記者)
 関係団体は、’07年12月に改正された政治資金規正法によって制度化。関係団体に関しては、人件費を除いて、1件1万円を超えるすべての支出の明細を、政治資金収支報告書に記載するなどといったルールで運用することになった。
 一方で、その他団体の場合、明細を記載するのは政治活動に関する5万円を超える支出から。また、人件費や光熱水費といった経常経費に関して明細は必要なく、総額のみを記載することになっている。
 その後、蓮舫議員のこの質疑を多くのメディアが取り上げたこともあり、この問題は、政治資金パーティーや政策活動費などに次ぐ政治改革の争点に浮上。今国会で審議されている政治資金規正法の改正案でも、支出の透明性向上を図る新たなルールが盛り込まれる見通しになっている。
1190万円ものカネを“付け替え”
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伊藤俊輔連合後援会」政治資金収支報告書(2022年)
 つまり資金移動に関する問題は、野党主導で政治改革の道筋をつけたテーマと言えるのだ。そうであるにもかかわらず、立憲民主党東京都連関係者の顔は暗い。
 「蓮舫議員の言う“脱法行為”は、立憲民主党議員の間でも行われています。立憲は自民党を厳しく非難していますが、同僚議員が同じことをしていてもお咎めなしでは、あまりに説得力に欠けている」
 こうして蓮舫議員が放ったブーメランの直撃を受けたのは、伊藤俊輔衆院議員(比例東京)である。伊藤議員の関係団体「東京俊友会」から、その他団体「伊藤俊輔連合後援会」に対して、'20~'22年の3年間で、合計1190万円の政治資金が寄付の名目で付け替えられたという。
 実際に各団体の政治資金収支報告書を確認すると、'20年に230万円、'21年に360万円、'22年に600万円の資金移動が行われていた。そして、茂木幹事長らと同様、資金移動によって、支出内容の公開率もはっきりと下がっていたのである。
 '20年の場合、東京俊友会の支出内容のうち、84・5%の使途が明らかだった一方、連合後援会は49・2%にとどまっていた。'21年は、東京俊友会が97・4%で連合後援会が11%、'22年は、東京俊友会が95・7%で連合後援会が23・5%という実態だった。
 特に、公開率が最も低い'21年の場合、連合後援会の支出総額が約600万円だったのに対して、収支報告書に明記されたのは手土産代の5万9780円と、「金銭以外のものによる寄付相当分」という名目で伊藤議員本人に支払われた60万円の寄付の2項目のみ。'20年と'22年も同様の傾向で、明記されている支出内容は印刷代や飲食代など、それぞれ数項目だけだった。
伊藤俊輔議員とは何者か
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 「伊藤議員は、自民党衆院議員で、国土庁長官だった伊藤公介氏を父にもつ世襲議員です。桐蔭横浜大学を卒業後、中国・北京大学への留学を経て、中央大学編入してそこでも学んでいる。維新から出馬した'12年と'14年の衆院選で落選を経験したあと、'17年に希望の党から出馬して初当選した。政党の離合集散に巻き込まれたこともあり、国民民主党を経て、'19年から立憲の会派に加わっています。
 横浜中華街で一緒に食事をしたとき、中国人の店員と中国語で流暢に話していたので、少なくとも日常会話は問題ないレベルだと思う。また、'18年に支援者向けに送った手紙のなかでは、当時、中国共産党ナンバー2だった李克強首相('23年死去)と面会したエピソードを盛り込んでいました」(伊藤事務所関係者)
 3人兄弟の三男で、周囲は当初、父親を秘書として支えた次男が跡を継ぐものとみていたという。ただ、次男が政治家をめざす意向がないことがわかると、それまで自ら起業した会社の社長を務めていた伊藤議員が政治の世界に飛び込んだ。
 また、社長時代には、分譲マンションやビジネスホテルの構造計算書が偽装され、社会不安を広げた耐震偽装事件の“当事者”としても注目を集めている。
 〈伊藤公介・元国土庁長官の家族が経営する会社が、ヒューザー(東京都千代田区小嶋進社長)の分譲マンション1棟の管理業務を受注していることがわかった。(中略)管理業務を受注したのは、04年8月に設立されたフューチャービジネスネットワーク(中央区)。代表取締役は伊藤元長官の三男〉('06年1月16日付朝日新聞)
 世襲ながら、酸いも甘いも噛みわけてきた伊藤議員。一方で、ここまで政治改革で世論の支持を集める、立憲の足を引っ張りかねないブーメランにどう答えるのか。
 つづく記事『【直撃取材】「脱法的な政治資金移動では?」疑惑の立憲・伊藤俊輔議員が明かした「意図」』では、渦中の伊藤議員本人を直撃。“脱法行為”と呼ばれる「資金移動」の真相について詳しくお伝えします。
 取材・文/宮下直之(「週刊現代」記者)
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