安定的な皇位継承めぐる議論を「旧宮家養子案」の重要性 女系派の悪質さ 一度皇族でなくなった人の子孫復帰を「憲法違反」と主張(2024年5月17日『夕刊フジ』)

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皇位継承策に関する有識者会議=2021年7月、首相官邸
 
【八幡和郎 日本人の試練】
安定的な皇位継承をめぐる議論は、各党の意見が出そろい、今月中にも調整に入る。議論の焦点は、国会決議に基づき設置された「皇位継承に関する有識者会議」(座長・清家篤慶応義塾長)の報告に基づいた、①愛子さまや佳子さまが本人だけ結婚後も皇室に残れる(単独残留)②皇族が旧宮家の子を養子にする(旧宮家養子)の2案だ。
 
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【内庁が開設したインスタグラムの公式アカウント
 
立憲民主党は、女系にこだわる野田佳彦元首相らの抵抗で煮え切らない。だが、公明党日本維新の会、国民民主党が「旧宮家養子案」に賛成しているので、大勢は決したと言うべきだ。
誤解があるが、いま議論されているのは、「愛子天皇」の是非ではない。すでに法律で、秋篠宮殿下を皇太子とまったく同格の皇嗣殿下とすると定め、立皇嗣礼まで行われている。皇太子が空席というのは不適切だ。議論は悠仁さまに男子がいないときのためのものだ。
いま提案されている2案は、女系継承の可能性も全面的には否定しないにせよ、旧宮家による男系継承の道を確実に確保するものだ。ここでは、男系派の人を念頭に、女系派の旧宮家養子案への反対にどう反論すべきか説明したい。
女系派の主張で一番悪質なのは、一度皇族でなくなった人の子孫の皇族復帰を憲法違反として根絶したがっていることだ。
女系派は「悠仁さま、佳子さま、愛子さまの女系子孫にも皇位継承権を認めたら皇統は維持できる」と言うが、何世代か後には断絶している可能性が何割かある。それでは、天皇制廃絶となってしまう。女系を認める場合でも、旧宮家の復帰も必要なのだ。
伏見宮家系の旧宮家は現皇室から遠すぎる」と言うが、幕末や明治にも常に皇位継承候補として扱われていたし、北白川・朝香・竹田・東久邇の各家は明治天皇の、東久邇家はさらに昭和天皇の女系子孫という補強材料がある。
「民間人をいきなり天皇にするのは無理がある」という意見もある。ただ、天皇になるとすれば養子になる本人でなく、悠仁さまの子とか孫の世代であって、生まれながらの皇族になる。
また、「希望者はいるのか」と言う人がいるが、旧宮家の人々の最大公約数的意見は、「自分たちが希望する話でないが、頼まれたら最終的にはお受けするしかない」ということである。