敦賀原発2号機に初の「再稼働不適合」の可能性 「原子炉直下に活断層」原電が否定できず 7月にも再稼働判断(2024年6月29日『東京新聞』)

 
 原子力規制委員会は28日、日本原子力発電(原電)が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県)が新規制基準に適合するかどうかの審査会合を開き、敷地内の断層について議論した。審査チームは7月下旬にも開かれる次回会合で、原子炉直下にある断層が大きな地震を引き起こす可能性があるかどうかを最終判断する見通しで、審査は大詰めを迎えている。
敦賀原発(2021年1月)

敦賀原発(2021年1月)

 この日の議論の焦点は、建屋の近くで確認され、活断層の可能性があるK断層が、原子炉直下にある別の断層につながるかどうか。会合では、審査チームが6月上旬に現地調査した結果などを基に、原電が「つながらない」と主張する根拠をただした。
 原電は7月中旬までに、規制委の質問への回答を示すとした。その後、審査チームは、つながりについての結論を出すことにしている。(渡辺聖子)
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◆不適合なら再稼働できず

 敦賀原発2号機は、原子力規制委員会の審査で新規制基準に適合しないと判断される可能性が浮上している。不適合になれば、新基準ができてから初めてで、再稼働できなくなる。2号機原子炉直下には活断層がある可能性があるからだ。規制委は現地調査などで裏付けを進める一方で、原電はこれまでに、活断層を否定し規制委を納得させる明確な根拠を示せていない。(渡辺聖子、曽根智貴、飯村健太)
 「天気が非常に良くて、予定通りに調査が滞りなくできた。断層の連続性に重点を置いて、見たいと思っていたところは見ることができた」。規制委で地震津波の審査チームを率いる石渡明委員は7日、敦賀原発の現地で地層の状況を直接調べ、そう手応えを説明した。

◆現地調査で判断材料そろう

 焦点になっているのが、2号機建屋北側約300メートルにあるK断層だ。このK断層が、
(1)活動性があるのか
(2)原子炉直下の別の断層と一体で動く連続性があるのか
が問われている。仮に活動性があり、連続性があるとされると、建屋直下に活断層がある可能性を認定される。新基準では活断層の上に原子炉の設置が認められていないため、2号機は稼働できなくなる。
 規制委は(1)について、5月末の審査会合で「活動性を否定することは困難」とする結論を導き、K断層に活動性がある可能性を指摘し、原電の主張を退けた。
 その上で(2)を調べるために、石渡委員は現地調査に入った。調査後、記者団から判断できるデータがそろったかと問われ「そのように考えています」と述べた。7月下旬にも結論を出す見通しを示した審査チームの判断は重い。その後に示される規制委の決定の根拠になるからだ。

◆再稼働の審査申請から8年超、「異例の状態」

 敦賀2号機は、原電が2015年11月に規制委に再稼働に向けた審査を申請してから、すでに8年以上たっている。規制委の山中伸介委員長が「異例の状態」と表現するほどだ。そもそも申請前の2013年5月、2号機直下の断層について、今回とは別の規制委の専門家チームが「活断層の可能性が否定できない」とする報告書をまとめていた。
 それでも、原電は「活断層ではない」と抵抗し、審査を申請。その後、原電が提出した審査資料の誤記や地質データの書き換えが相次いで発覚し、審査は2度にわたり中断。申請書を再提出して昨年9月に再開した後も、規制委事務局の質問に答えられない場面が繰り返されてきた。事務局幹部は「新たなデータを求めているわけではないのに、なぜ時間がかかるのか」といら立っていた。
 原発専業の原電にとって敦賀2号機の再稼働は生命線だ。再稼働を目指せるのは2号機と東海第2原発茨城県)の2基だけ。東海第2は18年に新基準に適合したものの、防潮堤などの対策工事に不備が見つかり完成が見通せず、周辺自治体からも再稼働を同意してもらえるかも分からない。