自民 政治資金規正法の改正案を決定 単独で提出(2024年5月17日『NHKニュース』

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政治資金規正法の改正をめぐり自民党は議員本人への罰則の強化やパーティー券の購入者を公開する基準額の引き下げなどを盛り込んだ法案を決定し単独で提出しました。与野党による協議を経て今の国会での成立を目指す方針です。
自民党は派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けてとりまとめた政治資金規正法の改正案をきょう総務会で決定し、党内の手続きを終えました。
法案では、議員本人への罰則を強化する、いわゆる「連座制」を導入するため、収支報告書の「確認書」の作成を議員に義務づけ、会計責任者が不記載などで処罰された場合に、内容の確認が不十分であれば公民権停止の対象とするとしています。
また、公明党と折り合えなかったパーティー券の購入者を公開する基準額は、現在の「20万円を超える」から「10万円を超える」に引き下げるとしています。
さらに党から議員に支給される「政策活動費」について、50万円を超える支給を受けた議員が使いみちを項目ごとに党に報告し、党が収支報告書に記載することも盛り込んでいます。
総務会のあと、自民党は単独で法案を提出しました。
与野党による協議を経て今の国会での成立を目指す方針です。
自民 鈴木氏「ベストな法案 真摯に協議に臨む」
自民党の作業チームの座長で法案の作成にあたった鈴木馨祐氏は記者団に対し「再発防止の徹底や政治の透明性を高めていくという観点で、ベストな法案になっている。与野党協議などを通じてなるべく幅広い賛同を得られるよう模索していく必要があり、真摯(しんし)に協議に臨んでいきたい」と述べました。
自民 森山総務会長「多くの会派に理解いただき成案を」
自民党の森山総務会長は記者会見で「法案の内容の国民への説明を尽くすことで『自民党が変わった』『政治が変わっていく』と感じてもらえると思う。与党で法案を1つにまとめるのがベストだと思うが、今の国会で成立させるため時間的制約もあり、自民党案の提出となった。あとは特別委員会での協議なので、できるだけ多くの会派に理解いただき成案を得るのが大事だ」と述べました。
自民 石破元幹事長「『決まったからこれでいい』とはならず」
自民党の石破元幹事長は記者団に対し「有権者にどう説明するかが大事で『決まったからこれでいい』という話にはならない。低下している党のイメージをどうやって刷新するかがますます重い課題になる」と述べました。
また、自民党単独での法案提出となったことについて「公明党と一致するのが一番よかったが支持する人たちの意見もある。議会の場で一致点を見いだすことも大事だ」と述べました。
立民 泉代表「低いレベルの案 野党案受け入れ政治改革を本気で」
立憲民主党の泉代表は記者会見で「自民党案は、公明党に一蹴されて当然の低いレベルの案だ。自民党は野党の案を受け入れて政治改革を本気で進めてほしい。公明党には是々非々の姿勢で臨んでもらい、われわれと協議して案をつくってもらいたい。自民党に反省や危機感がないことが明らかになっており、政治改革を議論する特別委員会で厳しく対応していきたい」と述べました。
その上で、政治資金規正法改正案の共同提出に向けた国民民主党との協議について「法案を共同提出できれば、1つ前進だ。提案を真摯に受け止め、できるかぎりのことはしたい。胸襟を開いて話し合えば、よい答えが出てくる」と述べました。
維新 藤田幹事長「改革案の体をなしておらず骨抜きだ」
日本維新の会の藤田幹事長は記者会見で「自民党の法案は、まるまる容認することは全くできない内容だ。改革案の体をなしておらず、骨抜きだ。特にわれわれが指摘してきた『政策活動費』の見直しや、企業・団体献金の禁止については、全くやる気がないように見受けられる」と述べました。
その上で「来週半ばには衆議院の特別委員会で各党の法案の趣旨説明が行われることが見込まれる。それまでには法案を提出できるよう実務的な作業を進めている」と述べました。
共産 小池書記局長「真相解明を棚上げにした中身」
共産党の小池書記局長は記者会見で「自民党の案は全く検討に値しない。企業・団体献金の禁止に一切触れておらず、政策活動費についてもおおまかな使途を示すだけで、真相解明を棚上げにした中身になっている。特別委員会でも、真相解明の議論を徹底的にやることが大前提だ。共産党はすでに企業・団体献金の全面禁止を含む法案を国会に提出しており、正面から掲げて論戦に臨んでいきたい」と述べました。
国民 玉木代表「改革や再発防止の意識と責任が全く感じられず」
国民民主党の玉木代表は記者団に対し「何でも一緒にやる公明党でもさすがに付いていけなくなったことに表れているとおり、自民党からは、改革や再発防止の意識と責任が全く感じられない。ぜひわれわれの主張にも柔軟に耳を傾けてもらい、修正協議にも真摯に応じていただきたい」と述べました。
その上で、政治資金規正法改正案の共同提出に向けた立憲民主党との協議について「今までいろんな議論を党内でもして、現在も先方と断続的にやっている。最終的には共同提出するか、しないかを決めていかなければいけないので、判断していくことになる」と述べました。