与党、規正法改正で合意 再発防止へ議員に連帯責任(2024年5月9日『日本経済新聞』)

 

 


政治資金規正法の改正案で合意し、署名を交換する公明党の石井幹事長(左)と自民党の茂木幹事長(9日、国会内)

自民、公明両党の幹事長は9日、国会内で会談し、政治資金規正法の改正内容で合意した。自民党派閥の政治資金問題を受けた再発防止策として会計責任者への監督責任を強め、国会議員の連帯責任を問う仕組みの導入や外部監査の拡充などを盛り込んだ。

近く与党として規正法改正案をまとめる。今国会の成立をめざし野党との擦り合わせに入る。

政治資金パーティー券の購入者の公開基準額を引き下げると明記した。現行は「20万円超」だが合意案に金額は書き込まなかった。与党内で「10万円超」に引き下げる案を軸に検討を続ける。

政党から政治家個人に支出し使途公開の義務がない政策活動費について「支払いを受けた者がその使途を報告し、収支報告書に記載する」と記した。

支出の公開基準の緩い後援会など「その他の政治団体」の資金の透明化にも条件付きで取り組む。資金管理団体のような「国会議員関係政治団体」から年間で1000万円以上の寄付を受け取る場合、使途の公開範囲を国会議員政治関係団体と同等にする。

いずれも政治資金の透明性向上を求める公明党の主張に自民党が歩み寄った。

連座制」に似た仕組みも取り入れる。議員に収支報告書の内容が適法だと本人が確認したことを示す「確認書」の提出を義務付ける。会計責任者が処罰され、議員が確認を怠った場合は議員に罰則を科し、有罪が確定すれば失職することを想定する。

与党案を巡っては、岸田文雄首相(自民党総裁)が早期の審議入りへ週内にもとりまとめるよう自民党内に指示していた。首相は今国会中の規正法改正を掲げており、改正議論の行方は今後の政権運営とも直結する。

今回の与党案は野党側が求める企業・団体献金の制限や政治資金パーティーの全面禁止には触れなかった。国会での議論が難航することは必至だ。法成立に向けて野党側にさらに譲歩する可能性もある。