GW被災地にもっとボランティアを 「支援が足りない」団体代表が訴え 石川県、期間中の募集人員を1.4倍に拡大(2024年4月30日『東京新聞』)

 
 発生から間もなく4カ月、能登半島地震の被災地も大型連休を迎えた。過去の地震被災地と比べてボランティア不足が指摘される中、発生当初から現地で活動している民間団体は「仮設住宅ができ、公費解体が本格化するこれからが、本当にボランティアの力が必要」と協力を呼びかけている。(井上靖史、奥田哲平)

◆寝泊りできる支援拠点をHPで紹介

 岐阜県郡上市NPO法人「森の遊学舎」の大西琢也代表(49)は、石川県輪島市門前地区を拠点にボランティア活動を展開。併せて、能登地域で一般ボランティアが活動しやすいように、寝泊まりできる場所をホームページ(HP)で紹介している。「泊まれる場所が少ないと言われるけれど、知られていない面もある」と活用を呼びかける。
宿泊もできるボランティアの活動拠点を紹介する大西琢也さん=石川県輪島市門前町馬場で

宿泊もできるボランティアの活動拠点を紹介する大西琢也さん=石川県輪島市門前町馬場で

 大西さん自身は、20人が宿泊でき、炊き出しや支援物資の配布場所になっている「能登地震復興支援拠点インスパイア・ベース」の運営に携わる。東日本大震災の支援活動を通じて知り合った同県志賀町の漁師田谷武博さん(62)の実家を改修し、災害支援に当たる民間団体「RQ能登」「Team Japan」と共同運営する。
 高齢化した地域は被災後の生活環境が厳しく、大西さんたちは田谷さんを通じて住民のニーズを聞き出しながら、家の片付けなどを続けてきた。1人暮らしをする母親(91)の面倒を見ようと東京都内から故郷に戻ってきた自営業の竹森勝己さん(66)は「ボランティアがいてくれて本当に良かった」と感謝する。

◆「入れる人は入って」

 県は当初、二次災害などを懸念してボランティアの自粛を呼びかける発信を繰り返したが、大西さんは事前に注意点を説明するなど、安全に配慮しながら独自にボランティアを募った。大西さんは「(知人のつてなどがあり)入れる人は入るべきだ。支援は足りていない」と指摘する。
 
かやぶきの古民家を拠点とするボランティア団体「のと復耕ラボ」のメンバーたち=石川県輪島市三井町で

かやぶきの古民家を拠点とするボランティア団体「のと復耕ラボ」のメンバーたち=石川県輪島市三井町で

 輪島市三井町を拠点に活動する「のと復耕ラボ」の山本亮さん(37)も、地震から3カ月間でボランティア200人以上を受け入れてきた。経営する「里山まるごとホテル」のかやぶきの古民家を拠点にしており、1日最大30人は宿泊できるという。

◆「現状を見て周囲に伝えるだけでも」

 市社会福祉協議会とも連携し、活動は重機を使ったがれきの撤去や炊き出しの協力、子どもの居場所づくりなど多岐にわたる。山本さんは「ボランティアが集まっていないからニーズを拾えない。地域を歩いて声をかけるだけで依頼が出てくる。被災地の現状を見て周囲に伝えるだけでもいい」と話す。
 山本さんが考えるボランティアは「片付け要員」というだけではない。甚大な被害を前にぼうぜんとする被災者に寄り添い、能登地方と継続的に交流する「関係人口」の増加にも期待する。「能登を支えたいと思ってくれている人たちがいる。ファンを増やすと、新たな展開が見えてくる」と話す。
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◆受け入れ調整の職員を増員

 石川県は、大型連休中に能登半島地震の被災地で災害ボランティアが多く活動することを見込み、同県奥能登地方の輪島、珠洲(すず)など6市町に派遣する募集人員を、通常の1.4倍に増やして態勢強化を図る。
 県は、広域避難した被災者が一時帰宅する可能性が高い大型連休を前に、ボランティアのニーズ掘り起こしをてこ入れ。受け入れの調整を担う社会福祉協議会職員を増員するなどして、被災者にボランティアを積極的に活用するよう求めてきた。
 その結果、5月6日までの連休期間で、市町から派遣を求められたボランティア数が通常時より増加。4月13〜22日では1日の募集人員が6市町で計235人だったが、連休期間では約1.4倍の340人に増やした。特に輪島市では1日の募集人員を通常時の2倍超にあたる90人、珠洲市でも1.5倍の70人を集めている。
 
 ボランティアの参加は、県の特設サイトで受け付けている。(広田和也、郷司駿成)