能登半島地震の被災地で、ボランティアが活動するための宿泊拠点が地震発生2カ月を前に、ようやく開設された。石川県が26日に穴水町の旧向洋中学校に設置した「石川県災害ボランティア 奥能登ベースキャンプ」。約55キロ離れた珠洲(すず)市のボランティアセンターまで90分で移動できるようになり、現地での活動時間が長くなる。
拠点施設では教室や体育館に張ったテントで最大約100人が宿泊できる。1泊2日型で派遣する仕組みで、事前登録のボランティア(約2万7900人)から募った宿泊型の枠は15分ほどで埋まった。
石川県は、奥能登2市2町への派遣を全て宿泊型に切り替えたい意向。インフラ復旧や自治体の応援に携わる支援者向けの宿泊拠点も能登空港(輪島市)の敷地内に設け、3月中にも利用できるようにする。(田嶋豊、青山尚樹)
◆派遣人数は1日当たり290人どまり
被災地に宿泊拠点ができたことで、ボランティアの受け入れ増加が期待される。しかし、石川県が市町の要望を基に決めている派遣人数は26日の週も1日当たり計290人にとどまる。
26日午後、珠洲市に到着した富山市の会社員阿部義明さん(62)は「ようやく前に進む感じ。少しでも力になりたい」。被災した住宅で壊れた流し台や棚を運んだり、ごみを分別したりした。妻を亡くし、この住宅で1人暮らしの会社員助則保章さん(60)は「みんなが来てくれることが、何より励みになる」と笑顔を見せた。
◆住人の立ち会いやトイレ確保に課題
ただ、課題は山積みだ。受け入れを週末に限る輪島市の社協によると、ボランティアが入る建物の安全性などを判断する調査には住人の立ち会いが必要となる。ところが避難などで市外に出ている人が多く、立ち会えるのは片付けに戻る週末に限られる。ボランティアが入る際も立ち会いが必要で、ニーズが限られてしまっているという。