「小池の名前だけでは勝てない」  衆院補選で支援候補が大敗の小池百合子都知事 それでも自身の3選は優位?(2024年4月30日『東京新聞』)

 
 28日投開票の衆院東京15区補欠選挙で、小池百合子都知事が支援した無所属新人が大差で敗れた。1週間前の目黒区長選でも支援した元都議が敗北。都内の選挙で勝ち星を重ねてきた小池知事にとって、大きな打撃となった。だが、小池知事が今夏の都知事選に出馬すれば最有力候補になるとの見方は依然根強く、直近の連敗の影響は見通せない。(三宅千智、渡辺真由子、鈴木里奈
 
選挙戦で乙武洋匡さん㊧の応援演説に駆けつけた小池都知事

選挙戦で乙武洋匡さん㊧の応援演説に駆けつけた小池都知事

 「小池知事が動けば波が起きる状況ではなくなったということだ」。東京15区補選で、小池知事が推した乙武洋匡さん(48)がよもやの5位に沈んだ結果について、ある自民都連関係者はこう評した。

◆目黒区長選に続き連敗

 昨年以降、都内では江東区長選や八王子市長選などで、小池知事が支援した候補が相次いで勝利した。今月の目黒区長選と15区補選では、いずれも自ら特別顧問を務める地域政党都民ファーストの会」系の新人候補を応援した。
 しかし結果は連敗。知事に近い人物は「『小池』の名前だけで勝たせることはできない。そんなに選挙は甘いものではない」と戒める。
 全国的に注目を集めた15区補選では、乙武さんの過去の女性問題などが反発を受けるなどし、自民公明両党の推薦を得られなかった。両党関係者の間には「あえて推した小池さんの間違い」「自公が乗れる候補なら良い勝負だった」などと候補選定を主導した小池知事への苦言も聞かれた。

◆国政復帰は「もうないだろう」

2月ごろに都政関係者の間で取り沙汰された小池知事の国政復帰説についても、今回の敗北で「もう全くないだろう」(自民都連幹部)との見方が支配的になりつつある。
 一方、6月20日告示の都知事選に向け、小池知事は態度を表明していないが、多くの関係者は3選出馬を既定路線とみて、敗北の影響は限定的との見方を示す。小池知事と関係が近い公明の関係者は「実績も残しており、知事としての選挙は大丈夫」と見通す。自民都連幹部も「対抗馬がいない。前回より票は減るかもしれないが勝つだろう」と話す。
 これに対し、補選で勝利した立憲民主党は、共産党や市民団体などと連携して都知事選候補の選定を急ぐ。立民都連幹部は「補選の結果は小池知事の失速ではない」と気を引き締めつつ「市民と野党の共闘で勝つことができた。その枠組みを大事にして都知事選に臨む」と意気込む。
 補選で敗北した日本維新の会の藤田文武幹事長は「都知事選は大きな選挙。ファイティングポーズを取る方針で擁立の努力をしたい」と述べた。