<この日晴れるか この日燃えるか/甲子園の夏よ/最後の昂揚…(2024年4月24日『東京新聞』-「筆洗」)

<この日晴れるか この日燃えるか/甲子園の夏よ/最後の昂揚(こうよう)のために/せいいっぱい晴れてくれ/せいいっぱい燃えてくれ>-。高校野球を愛した作詞家、阿久悠さんの『甲子園の詩 敗れざる君たちへ』から引いた
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▼1980年の作品で題名は「甲子園は燃えている」。<甲子園の夏よ/ありあまる日ざしと熱で飾って/この天晴(あっぱ)れな少年たちの偉大な舞台となってくれ>と続く
▼真夏の太陽が甲子園の熱戦をより劇的に演出するのは確かだろうが、今の時代に<熱で飾って>とはなかなか言いにくいかもしれない。気候変動の結果、夏の平均気温は上昇し、炎天下でのプレーは選手の体に障る
▼暑さ対策の必要を踏まえ、日本高校野球連盟はこの夏の甲子園大会(8月7日開幕)から午前と夕方に分けて試合を行う「2部制」の導入を決めた。試合中に熱中症を訴える選手が相次いでいたことを思えば当然の対応だろう
▼試合数が1日3試合となる大会第1日から第3日まで「2部制」を導入するそうだ。導入で選手を苦しめる猛暑をいくらかでも回避できればありがたい。古いファンの間には昼間の試合がないことに寂しさを感じる人もあろうが、猛暑を避けたからといっても、試合の妙味や選手の闘志が薄れることはあるまい
▼気になるのは効果の方か。最近の夏は午前中、夕方といっても、その暑さはやはり容赦がない。