ドジャース 大谷翔平 日本選手の最多ホームラン記録を更新(2024年4月22日『NHKニュース』)

大リーグ、ドジャース大谷翔平選手が21日、メッツ戦で8試合ぶりにホームランを打ち、大リーグ通算の数を176本として、日本選手の最多記録を更新しました。

ドジャースは本拠地のロサンゼルスでメッツと対戦し、大谷選手は2番・指名打者で先発出場しました。

1回の第1打席は変化球にタイミングを外されて空振り三振でした。

0対0の3回、ワンアウト一塁で迎えた第2打席で、2球目の甘く入ったスライダーを完璧にとらえてライトへ運び、先制となる5号ツーランホームランを打ちました。

大谷選手は今月12日の試合で175本目を打って以来、8試合ぶりのホームランで、大リーグ通算の数を176本とし松井秀喜さんを抜いて日本選手の最多記録を更新しました。

球場の電光掲示板には「176」の数字が表示され、大谷選手を祝福しました。

5回の第3打席は3対0とリードを広げた直後、なおもノーアウト一塁二塁と続く場面で、強烈なピッチャー返しを打って2打席連続ヒットとなる内野安打とし、満塁へとチャンスを広げました。

続く3番フリーマン選手にタイムリーツーベースヒットが出るなどドジャースはこの回、打者11人と打線がつながって一挙8点を奪いました。

このあと6回の第4打席でフォアボールを選んだあと10対0と大きくリードしたまま、8回に回ってきた打席では代打が送られて移籍後、初めて途中交代となりました。

大谷選手はこの試合3打数2安打2打点フォアボールが1つで連続試合ヒットを「7」に伸ばし、打率は3割6分8厘まで上がりました。

試合は、ドジャースが10対0のまま勝って連敗を「3」で止めました。

飛距離は128メートル 

大谷選手が大リーグの日本選手の最多ホームラン記録を更新した今シーズン5号ホームランは、メッツの先発右腕、ハウザー投手が投げた131キロのスライダーを捉え、快音とともにボールはライトスタンドの上段まで届きました。

打球速度は177キロ、飛距離は128.9メートルで、ライトを守っていたメッツのマーテイ選手は打った瞬間、ホームランを確信して一歩も動かず、スタンドのほうへ顔を向けることもない特大の当たりでした。

大谷選手のホームランは8試合ぶりで、今シーズン1号を打った今月3日のジャイアンツ戦の時と同様にドジャースのグラスナウ投手が先発している試合でした。

大谷選手は昨シーズンのオフ、グラスナウ投手がレイズからドジャースに移籍した際に「あなたのためにホームランを打ちたい」とビデオメッセージを送っていて、再び「有言実行」のホームランとなりました。

大谷選手「打てて安心と喜びと」 

チームの連敗ストップにも貢献した大谷選手は、試合直後、現地放送局のインタビューに応じ「早く打ちたいと思っていたのでまず打てて安心と喜びとどちらの気持ちもある」と率直な感想を話しました。

試合ではドジャース本来の強力な打線がつながって大量リードしたことについては「きょうをきっかけにもっともっとつながりのあるいいオフェンスができると思う。何より、先発のグラスナウ投手がすばらしいパフォーマンスだった」と話しました。

日本選手の大リーグ通算ホームラン数は?

大リーグでの日本選手の通算ホームラン数の記録です。

▽トップは大谷翔平選手の176本です。

▽2位は松井秀喜さんの175本です。松井さんが大リーグで最後にホームランを打ったのはレイズ時代の2012年で、大谷選手は12年ぶりの記録更新となりました。

▽3位はイチローさんの通算117本で、100本以上打っているのはこの3人だけです。

▽4位は城島健司さんの48本。

▽5位は井口資仁さんの44本。

▽6位は福留孝介さんの42本です。

▽7位はカブス鈴木誠也選手で、現時点で37本を打っています。

松井さんが通算1205試合で175本に到達したのに対し、大谷選手はバッターとして出場した717試合目でこの記録に並び、725試合目で超えました。

特に2021年から昨シーズンまでの3年では124本を打つなど、近年は驚異的なペースでホームランを積み重ねています。

大谷翔平 ホームラン176本の軌跡 

大谷翔平選手が打った176本のホームランを年ごとに振り返ると、近年の驚異的なハイペースがはっきりと分かります。

2018年=22本

エンジェルスでのルーキーイヤーはリーグ36位となる22本のホームランを打ちました。
大リーグ1号は2018年4月3日で、エンジェルスタジアムでの初めての試合の1回、最初の打席でスリーランホームランという劇的な本拠地デビューでした。
翌日には前のシーズンにサイ・ヤング賞に輝いた好投手、クルーバー投手から早くも2号を打ちました。
10月には右ひじのトミー・ジョン手術を受けましたが、投打の二刀流で大リーグデビューを飾ってピッチャーとしても4勝をあげ、新人王を受賞しました。

2019年=18本

2年目のホームランはリーグ74位の18本。
右ひじの手術の影響でバッターとしての復帰が5月からとなり、ピッチャーとしては全休したシーズンで、シーズン終盤の9月には左ひざの手術も行ったため、バッターとして106試合の出場でマークした記録でした。
6月のレイズ戦では最初の打席でホームラン(通算30号)を打ったあと、ツーベース、スリーベース、そしてシングルヒットを打って、大リーグの日本選手で初めてサイクルヒットを達成しました。

2020年=7本

3年目は、リーグ60位の7本。
新型コロナの影響でレギュラーシーズンが通常の162試合から60試合に大きく短縮されたシーズンでしたが、大谷選手は打率1割9分と不調のままシーズンを終えました。
ピッチャーとしても2年ぶりに復帰したものの2試合で防御率37.80と精彩を欠き、今後の二刀流の継続が危ぶまれたシーズンでした。

2021年=46本

背水の陣で臨んだ4年目はシーズンを通して投打の二刀流で躍動し、リーグ3位の46本のホームランを打ちました。
4月9日にはバッターとして262試合目の出場で大リーグ通算50号を達成し、日本選手では最速でした。
7月7日のホームラン(通算79号)で松井秀喜さんが作った大リーグの日本選手、シーズン最多ホームラン記録31本を前半戦で塗り替え、シーズン最後までホームラン王を争いました。
ピッチャーとしても9勝をあげ、自身初のシーズンMVP=最優秀選手を受賞しました。

2022年=34本

5年目はリーグ4位の34本と前の年より減らしましたが、この年は15勝、防御率2.33とピッチャーとして自己最高の成績をマークしました。
節目の記録にも到達し、5月9日のレイズ戦で自身初の満塁ホームランを打って通算99号、14日のアスレティックス戦で通算100号を打ちました。
バッターとしては444試合目の出場で、出場636試合で達成した松井さんより200試合近く早いペースでした。

2023年=44本

エンジェルスとの契約最終年となった6年目は、6月17日のロイヤルズ戦で通算150号に到達するなど6月と7月であわせて24本と驚異的なペースでホームランを打ち、2か月連続で月間MVPを受賞。
9月にはバッティング練習中に脇腹を痛め、結果的にシーズン終盤の25試合を欠場しましたが、シーズン44本を打ってアジア出身の選手として初めてホームラン王を獲得しました。
通算ホームランは171本にまで伸び、自身2回目のシーズンMVPも受賞しました。
そして、シーズンオフにエンジェルスからドジャースに10年契約で移籍しました。

2024年=ここまで5本

新天地・ドジャースでの初ホームランは開幕から9試合目、本拠地で行われた4月3日のジャイアンツ戦でした。
自身最長となる開幕から41打席目となる待望の1本に「焦る気持ちを我慢しながら自分のスイングをしようと努めてきた」と率直な思いを話しました。
去年9月に受けた2回目となる右ひじのトミー・ジョン手術の影響で今シーズンはバッターに専念していますが、開幕から24試合目で松井秀喜さんの日本選手の大リーグでのホームラン記録を上回る通算176本目を打ちました。
現在のペースを保てばシーズンでは33本を打つ計算ですが、大谷選手は例年6月と7月に絶好調になるだけにケガなく試合に出続けられればシーズン前半で通算200号に到達する可能性も十分にあります。