28日投開票の衆院3補欠選挙のうち、東京15区は1994年の小選挙区制導入以来、東京都江東区の全域で一つの小選挙区を構成している。区長選や区議選、都議選の選挙区とも重なるこのような選挙区は、実は全国でも珍しい。汚職事件や公選法違反事件で、衆院議員や区長(いずれも辞職)が次々と立件され、選挙が続く異常事態となっている。(我那覇圭)
◆289の小選挙区のうち、前回はたった8選挙区
一方で、東京15区を含めて単独の自治体全域で小選挙区となっているのは、秋田1区(秋田市)や石川1区(金沢市)など8小選挙区のみ。来年10月の任期満了までに行われる次の衆院選から「1票の格差」是正のために新たな区割りが導入された後は、東京15区を含む13小選挙区に増える。
◆選挙の事務はラクになる
明治大の井田正道教授(政治行動論)は「一般的に単独の自治体で小選挙区をつくれば、複数の自治体で選挙事務を調整する手間が省ける」と説明。有権者にとっても、投票先を巡る混乱などが生じにくく、結果的に投票率向上につながることも期待できるという。
もっとも江東区の場合、前回の衆院選では23特別区で上から6番目の58.73%と比較的高く、全国平均の55.93%も上回ったが、それ以前の衆院選では下回る場合も。23年12月の区長選も、投票率は39.2%と過去最低に沈んだ。
区選管は、単一自治体で一つの小選挙区を構成するメリットについて「自治体の総意として、衆院議員を通じて国へ意見や要望を伝えることができる」と説明。現状に関しては「政治家の不祥事による辞職が続く状況に、有権者の選挙疲れ、政治不信は相当なものだと推察する」とコメントしている。