米英豪3カ国の安全保障枠組みAUKUS(オーカス)。日本が初のパートナー国として協力する見通しになった。中国に対抗するため創設された枠組みへの日本の技術協力が東アジア情勢の緊迫に拍車をかけないか、慎重な対応が必要だ。
ただ、日本と同じパートナー参加に意欲を示すカナダとニュージーランドは、米英豪とともに英語圏の機密情報共有枠組み「ファイブ・アイズ」のメンバー。日本がAUKUSと軍事技術の連携を強めれば、いずれ厳しい情報管理を求められ、国際諜報(ちょうほう)網に組み込まれる懸念すらある。
原潜は長期間の潜航が可能で、核弾頭を搭載する弾道ミサイルも装備できる。豪州への配備は、海洋進出の動きを強める中国との間で新たな緊張を生みかねない。
中国外務省は、AUKUS拡大に反発し、日本の協力に対しても「歴史の教訓をくみ取り、軍事・安保分野の言行を慎まなければならない」とくぎを刺している。
日本は英国・イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国輸出を解禁したが、紛争に使用される可能性もある。軍事技術の協力は常に戦争と隣り合わせだ。戦後日本の「平和国家の歩み」を踏み外す振る舞いをしてはならない。