2024年3月、内閣府より「「生活設計と年金に関する世論調査」の概要」が公開されました。
【円グラフ】50歳代・二人以上世帯の「貯蓄分布」と平均・中央値はいくら?(出所:金融広報中央委員会など)
同調査で「何歳まで仕事をしたいか、またはしたか」という問いに対し、もっとも多かったのが「61歳~65歳」という選択肢。28.5%と、約3割の人が回答しました。 また「66歳~70歳」と回答した人も21.5%を占めています。やはり、できれば長く働きたいと考える人は増えている傾向にあるようです。
定年を目前に控え、老後資金が重要になる50歳代ですが、周りの年金受給額や貯蓄額が気になる方も多いでしょう。 今回はシニア夫婦のお金事情を探るべく、まずは60歳代「年金の受給額」を年齢別にチェックしていきます。 記事の後半では、金融広報中央委員会の資料より「50歳代・二人以上世帯」の貯蓄額や、厚生労働省が公表した統計から「親への仕送り」実態をみていきましょう。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【年金】60歳代の年金収入は月額いくら? 年齢別一覧表
50歳代が見据える、60歳代シニア。現在、彼らは年金をいくら受給しているのでしょうか。 厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、60歳代が2022年度末時点で実際に受給している年金の平均額は次のとおりです。 年齢別に確認していきましょう。
●【厚生年金】60歳代の受給月額
・60歳:9万4853円
・61歳:9万1675円
・62歳:6万1942円
・63歳:6万4514円
・64歳:7万9536円
・65歳:14万3504円
・66歳:14万6891円
・67歳:14万5757円
・68歳:14万3898円
・69歳:14万1881円
※国民年金を含む 65歳未満の厚生年金保険(第1号)の受給権者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、主に定額部分のない、報酬比例部分のみの者となっています。
一般的な年金受給開始年齢である65歳以降をみると、年齢があがるにつれ平均月額が上がっています。平均で月額14~16万円台となっていることがわかるでしょう。
●【国民年金】60歳代の受給月額
・60歳:4万2616円
・61歳:4万1420円
・62歳:4万3513円
・63歳:4万3711円
・64歳:4万4352円
・65歳:5万8070円
・66歳:5万8012円
・67歳:5万7924円
・68歳:5万7722円
・69歳:5万7515円
65歳未満の国民年金の受給権者は、繰上げ支給を選択した者となっているため受給額は低いです。
65歳以降でみると、平均で月5万円台となりました。厚生年金ほどには年齢差がないようです。
年金はシニア生活の収入の柱といえますが、一本で生活費すべてをまかなうのはやや厳しいといえるかもしれません。多くの方が貯蓄を切り崩しての老後生活となるでしょう。 次の章からは、50歳代・二人以上世帯の貯蓄事情をチェックしていきます。
【50歳代・二人以上世帯】貯蓄200万円台は何パーセントか
50歳代・二人以上世帯で「貯蓄200~300万円未満」の人はどれくらいいるのでしょうか。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」より、50歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。
●【50歳代・二人以上世帯】貯蓄200万円~300万円未満の割合
3.8%
●【50歳代・二人以上世帯】貯蓄300万円未満(貯蓄ゼロ含む)の割合
46.7%
●【50歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
・平均:1147万円
・中央値:300万円
貯蓄200万円~300万円未満は3.8%、貯蓄300万円未満でみると46.7%とほぼ半数となりました。
また、高い値に引っ張られる「平均貯蓄額」と、より現実的とされる「中央値」の開きが見受けられます。
それでは、貯蓄を保有している世帯に限ってみると数値はどのように変化するでしょうか。
【50歳代・二人以上世帯】貯蓄保有世帯のみの平均と中央値はいくらか
次に、同調査より貯蓄保有世帯のみの貯蓄額について見ていきましょう。
●【50歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
・平均:1611万円
・中央値:745万円
貯蓄保有世帯のみの貯蓄額をみると、貯蓄1500万円以上は28.7%。
平均は1500万円を超え、中央値は700万円を超えました。大きな「貯蓄」格差が生まれているといえるでしょう。
貯蓄をスタートするコツは、日々の支出について理解すること。今回は「親への仕送り」にスポットライトを当ててみました。
「親への仕送り」実施する世帯の平均額はいくら?
厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、 親へ仕送りしている世帯の現状は次のとおりです。
・総数:104万7000世帯
・2万円未満:12万8000世帯
・2~4万円:31万3000世帯
・4~6万円:21万4000世帯
・6~8万円:6万6000世帯
・8~10万円:4万2000世帯
・10万円以上:19万7000世帯
・不詳:8万8000世帯
・1世帯当たり平均仕送り額:5万6000円
1世帯当たり平均仕送り額は5万6000円。10万円以上という世帯も19万7000世帯で、全体の18.8%となりました。
実施している世帯は一部ですが、援助を頼みにくいという方も多いでしょう。
まずは家庭内で状況を把握して、それぞれに合った適切な対応を選択することがお互いのためになると考えられます。しっかりと意思を確認し合うのが大切かもしれません。
2024年は計画的に貯蓄しよう
確実に貯蓄を増やしていくには、毎月の収入から一定額を先に貯蓄して残りの金額で生活する「先取り貯金」が有効。
先取り貯金には、定期預金などの積立預金だけではなく「積立投資」という方法もあります。ただし、元本割れなどのリスクについては一考する必要があるでしょう。
2024年からスタートした「新NISA」制度では積立投資に特化した非課税枠もあります。この機会に利用を検討してみてください。
また、預貯金や資産運用だけでなく、ご自身の年収アップでも貯蓄を増やすことは可能です。自分のライフスタイルや価値観に合わせて、セカンドライフに向けた貯蓄を考えてみましょう。
●【参考】50歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表(金融資産非保有世帯を含む)
・金融資産非保有:27.4%
・100万円未満:9.1%
・100~200万円未満:6.4%
・200~300万円未満:3.8%
・300~400万円未満:3.9%
・400~500万円未満:3.8%
・500~700万円未満:5.6%
・700~1000万円未満:5.5%
・1000~1500万円未満:8.9%
・1500~2000万円未満:4.2%
・2000~3000万円未満:5.4%
・3000万円以上:11.2%
・平均:1147万円
・中央値:300万円
参考資料
・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)
・厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」
・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
荒井 麻友子
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