能登の漁師、新たな漁船で再び船出 「やめようと思ったけど…」行政支援活用の「第1号」に(2024年4月18日『東京新聞』)

 
 地震の影響で小型漁船「宝雄丸」が大破したイカ釣り漁師太田均さん(66)=石川県能登町小木=が、国や県などが連携して行う漁師への支援事業により漁船を購入した。この事業で漁業を再開する漁師の「第1号」となる。
新たに購入した漁船を前に、出漁への気持ちを高ぶらせる太田均さん=17日、石川県能登町で

新たに購入した漁船を前に、出漁への気持ちを高ぶらせる太田均さん=17日、石川県能登町

 太田さんが活用した県の漁船等災害復旧支援事業は被害を受けた漁師に対し、行政が漁船や漁具の購入費などを支援する。本人負担は1割に軽減される。太田さんは、地元の仲間に紹介され、北海道函館市イカ釣り漁に使われていた中古の小型漁船を購入した。
 宝雄丸とは、15年にわたって漁をともにしてきた。町内の九十九湾の岸壁に停泊していたが、地震で岸壁が崩れて水没した。後に水中から引き揚げられたが、原形をとどめていない状態だった。一時、太田さんは「もう仕事をやめようと思った」という。
 3月末に到着した新たな漁船は、整備して太田さん自ら「宝雄丸」の名を書いた。初出漁は20日を予定する。太田さんは「もう一度仕事ができることに感謝し、例年より一匹でも多く釣れるように頑張りたい」と意気込んだ。(安里秀太郎