沖縄では「シーミー」と呼ぶそうだ…(2024年4月4日『毎日新聞』-「余録」)

台湾東部沖の地震で倒壊したビルの前で待機する救急隊員ら=台湾東部・花蓮で3日、台湾消防当局提供・AP

台湾東部沖の地震で倒壊したビルの前で待機する救急隊員ら=台湾東部・花蓮で3日、台湾消防当局提供・A
津波警報の発令を受け、高台に避難する住民たち=那覇市で2024年4月3日午前9時26分、比嘉洋撮影
津波警報の発令を受け、高台に避難する住民たち=那覇市で2024年4月3日午前9時26分、比嘉洋撮影

 沖縄では「シーミー」と呼ぶそうだ。二十四節気の「清明」である。琉球王国の時代から祖先を供養する年中行事の日。山海の幸を重箱に詰め、親戚一同が先祖の墓の前に集まる。ピクニックのような催しという

▲中国や台湾では「清明節」の祝日でお盆や彼岸のように墓参りに行き、掃除する。今年はきょう4日が「清明」に当たり、台湾では4日間の連休が始まる。その前日に台湾東部沖を震源とする地震が起き、沖縄では津波警報が出された

▲元日に起きた能登半島地震もそうだが、自然は人間の都合など考えてくれない。元々、訪日客数が上位の台湾だ。お花見を楽しみに連休中の日本旅行を計画していた人も多いだろう

▲沖縄・石垣島には国の天然記念物の津波石がある。1771年にこの地域に大きな被害をもたらした津波で運ばれたといわれる巨岩だ。同じ年代かは不明だが、台湾でも近年、同様の津波石が発見されているという

▲沖縄の与那国島と台湾との距離は最短で111キロに過ぎない。沖縄返還前の1966年には同じ地震で沖縄と台湾双方に死者が出たこともある。過去に同じ津波被害があったとしても不思議ではない

▲99年の台湾大地震では日本、東日本大震災では台湾がそれぞれ被災者支援に積極的に動き、親近感を高めた。どちらも地震の恐ろしさを体験的に知っているからこそだ。台湾では99年以来の規模となる3日の地震は最大震度6強を記録し、死傷者も出ている。いつでも支援の手を伸ばせる態勢でいたい。