ウォーキングで脳梗塞や心筋梗塞リスク減…埼玉・毛呂山町が町民調査、糖尿病や中性脂肪数値も改善(2024年4月1日『読売新聞』)

 埼玉県毛呂山町に本部がある埼玉医科大は3月27日、町とともに2023年度に実施したウォーキング事業に関する結果報告会を開き、半年間参加した町民の脳 梗塞こうそく や心筋梗塞のリスクが軽減したと明らかにした。町は新年度もこの事業を継続するとしている。

報告会では、検証の結果が参加者らに示された(3月27日)
報告会では、検証の結果が参加者らに示された(3月27日)

 事業には、町民56人(平均年齢69・5歳)が参加した。昨年6~11月の半年間、毎日8000歩以上を目標に散歩に取り組んだほか、椅子から立ち上がる筋力トレーニング(スクワット、各日計30回)を週3回行った。

 このうちの54人について、同大が実施前後に血液検査や体力測定を行った結果、平均体重が57・6キロ・グラムから57・0キロ・グラムに減少したほか、糖尿病の重症度を示す数値や中性脂肪の数値は下がり、善玉コレステロール値は上がり、それぞれ改善がみられた。瞬発力や持久力も向上していた。

 心筋梗塞脳梗塞の発症リスクでは、事業開始前は「中リスク」と指摘された人が8人いたが、半年後には3人に減少し、その全員についても数値が改善していた。「低リスク」とされた町民でも数値の改善がみられたといい、同大は「ウォーキングでリスク軽減が図れることが示唆された」としている。

 一方、両下肢の筋肉量はやや減少していた。歩くうちに筋肉中のたんぱく質がエネルギー源として使われたことが原因とみられ、同大は散歩前におにぎりやバナナを食べて栄養補給をすることを勧めている。

 事業は町民の健康寿命を延ばそうと、町が同大と連携して実施した。責任者を務めた同大国際医療センターの高橋秀寿教授は「今回のような検査をウォーキングの効果判定に用いた研究は珍しく、貴重な研究成果が得られた」とコメント。同大は成果を日本リハビリテーション医学会にも報告する。事業に参加した同町のパート従業員(64)は報告会後、「ウォーキングを習慣化することができて良かった。今後も続けたい」と話していた。町は今年度も別の町民60人を対象に、この事業を継続するとしている。