変節した公明党 自民党と歩調合わせ政治とカネの解明を拒む(2024年3月27日『日刊スポーツ』』-「政界地獄耳」)

公明党は長年連立政権で自民党に対してブレーキ役やチェック機能を果たすとしてきたが、今では政権にどっぷりつかり野党時代を知らない議員も増え、与党の価値観や発想が幅を利かせているのか。いささか自民党と一体化してしまったと言わざるを得ない。26日、政府は英国・イタリアと共同開発する次期戦闘機の第三国への輸出解禁の閣議決定をした。その間、平和の党を名乗るのもはばかられるほど公明党は対応が二転三転して、議論が与党内で深まったとは言い難い。昨年7月の自公実務者協議での中間取りまとめでは、第三国輸出容認が軸になっていたが、11月には公明党内から慎重論が相次ぎ、自民党は困惑する。両党ともに「本気度」を疑いだし疑心暗鬼になっていく。

★14日、公明党副代表・北側一雄は会見で「党内の実務者と(党幹部との)連携が十分ではなかった。戦闘機という殺傷能力を持つ武器の輸出は、重大な政策変更で、慎重な議論が必要だった」と当事者とは思えぬ反応を見せた。だが、政府は閣議決定までこぎつけ、公明党は武器輸出を容認した。同党幹事長・石井啓一は10日のテレビで衆院解散・総選挙の時期について「秋が一番可能性が高いのではないか」「そこ(自民党総裁選)で選ばれた総裁は非常に支持率が高くなる」。与党幹事長といっても自民党でさえ総裁以外が発言することのない解散時期や総裁選の動向など、かなり踏み込んだ発言に、自民党内からは党内が政治とカネで追い込まれている時期に自由な政局観発言に不快感が出た。

自民党内には連立解消論もちらつく。崩れかけた信頼回復が必要とみたのか、議員本人の申し出か、委員の3分の1以上の申し立てと過半数の賛成が必要な政倫審開催に公明党の手を借りようとした政倫審野党筆頭幹事だったが25日、公明党同審査会幹事は申し入れを拒否した。自民党と歩調を合わせ政治とカネの解明を拒んだ公明党は、変節したという表現がぴったりだ。(K)