堂々としていた大谷翔平、終始いらだっていた二階俊博氏…会見には人間性が表れる(2024年3月27日『サンケイスポーツ』-「甘口辛口」)

■3月27日 霧に包まれていた〝大谷像〟がスッキリと元の姿を現した。元通訳・水原一平氏の許しがたい行為を白日の下にさらす厳しい会見だったが、ドジャース大谷翔平の口調はよどみなく、時系列の内容もわかりやすかった。メモも用意されていたが、ほぼ自分の言葉で話し身の潔白を証明した。まずは一安心といった感じだ。

 6年間、公私にわたってコンビを組んだ水原氏との突然の決別。「結論からいうと彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつみんなに噓をついていた」と突き放したが、心中は…。信頼していた部下でも決まりを破れば私情を捨てる「泣いて馬謖を斬る」とはまさにこのことだろう。

 まだ、大谷の銀行口座に水原氏がどうやってアクセスし送金までしたのか核心の部分には疑問も多い。それは今後の調査に任せるとして、大谷にはなんらやましいことはないはずだ。それでもまだ大谷に疑いの目を向ける米国のメディアもあるらしいが、これだけ堂々と否定されては責めようもないだろう。

 翻って日本の会見では…。自民党二階俊博元幹事長(85)が党本部で会見し次期衆院選に立候補しない意向を表明した。党の裏金議員処分の前に先手を打ったとか。終始いらだって「不出馬は年齢の問題か」と質問した記者を「お前もそのトシがくるんだよ」とにらみつけ、「ばかやろう」と捨てぜりふを吐いた。

 自身がカギを握る裏金事件の説明責任も果たさぬまま辞めると言い出されては責めようがない。これが大谷の3倍近くの人生を歩んできた政界の重鎮の「引退会見」だとしたら後味は最悪で国民を愚弄している。追い詰められた会見こそ人間性が表れるもの、とつくづく思う。(今村忠)