総裁も議員も地方も保身の自民党…石破茂の声は響かず(2024年3月21日『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」)

★総裁選再選が視野にある首相・岸田文雄は、元幹事長・二階俊博や旧安倍派幹部らを“穏便”で“厳正”な処分にしたい考えだが、自らも処分の対象にすると言い出した。そもそも党の代表である総裁が処分されるのならば、総裁を辞すべきではないか。加えて、次期総裁選挙に出馬する資格はあるのかと誰もが問いたくなる。もっとも処分を軽くしたいと考える首相の腹は、旧安倍派や二階派の面々から恨まれたくないという保身でしかない。それなら処分はみんなで軽くしようという後ろ向きで、都合のいい話ということになる。

★処分の話は当初からぐずぐずしていて悩ましい問題だったのだろうが、80人の処分が必要となれば幹部、中堅、若手の差を少しつけて、党籍が一時期外れたとしてもすぐに戻してやるという裏約束もつければ乗り切れるという判断だろう。最悪でも無所属で当選してくれば、国会内では会派を組めば普段通りの扱いは可能だ。その代わり、党と内閣、議会のポストはしばらく我慢してねということならば、役職停止程度と考えればいいだろう。地方議員たちも怒ってみせるものの、地元に大物議員がいてくれないと、陳情もままならないとなれば、本気で党改革などと叫ぶ者は皆無なのは党大会や全国幹事長会議を見ても明白だ。それどころか、地方議員は懇親会と称して“昭和の男社会”を楽しんでいたのだから、地方議員から党改革など出てくるはずがない。

★1月22日に東京MXテレビに出演した元幹事長・石破茂は「党を支えているのは地域だ。総裁の決め方も党員票の比重が上がっていいのではないか」と発言したが、党内では全く無視された。3月17日の党大会後にもメディアに向かい、総裁選について「形式的に派閥はなくなったが、実際は合従連衡で決まった、という印象を国民に与えたとすれば、そのツケは、衆院選参院選でものすごいことになる」と改めて訴えた。石破に賛同者はいない。保身ばかりでは下野しないとわからないのだろう。(K)