岸田首相“やってるフリ”政倫審で裏金事件早期幕引き画策は裏目…「地方の乱」勃発必至!(2024年3月14日『日刊ゲンダイ』)

 

いつまで他人事のごとく、ニヤついていられるか(岸田首相=参院予算委、昨13日)/(C)日刊ゲンダイ

いつまで他人事のごとく、ニヤついていられるか(岸田首相=参院予算委、昨13日)/(C)日刊ゲンダイ

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 早期幕引きとはいかない。

 自民党派閥の裏金事件を巡って、14日に開かれる参院政治倫理審査会の出席者は世耕弘成参院幹事長ら3人だけ。安倍派の事務総長経験者の下村博文文科相が出席する衆院政倫審については、19日の開催を求める立憲民主党に対し、自民側は15日開催に固執していた。結局、18日開催が決まったが、17日の自民党大会前に裏金問題を一段落させたい思惑がミエミエだった。政倫審がただの“やってるフリ”なのは明らかだ。

「総理は政倫審の参加者をできるだけ絞り込み、党大会までに終わらせることでケリをつけたかったのでしょう。衆院政倫審の15日開催にこだわったのは、同日に参院予算委員会の集中審議が予定されているからです。同日開催なら政倫審への注目度が下がると踏んでいたようです」(官邸事情通)

 ただ、岸田首相の思惑通りにはならなそうだ。党大会前日の16日、自民党都道府県連幹部が集う「全国幹事長会議」が党本部で開催される。会議で、裏金事件を巡る岸田首相の対応に対して、地方の幹部たちから批判が噴出しかねない。4月28日に衆院3補選を控える中、岸田首相は地方からの猛烈な突き上げを食らう可能性があるのだ。

森喜朗元首相は退陣に追い込まれた

毎年、「全国幹事長会議」は荒れる。今年はただでは済まない(発言する世耕前参院幹事長や首脳陣席の萩生田前政調会長ら=昨2023年同会議)/(C)共同通信社
毎年、「全国幹事長会議」は荒れる。今年はただでは済まない(発言する世耕前参院幹事長や首脳陣席の萩生田前政調会長ら=昨2023年同会議)/(C)共同通信社

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 地方議員の経験がある自民中堅はこう言う。

「幹事長会議は毎年荒れるのですが、今年はただでは済まないでしょう。地方議員は連日、裏金事件について支援者からお叱りを受けていますから、鬱憤は相当なもの。みんな『オレたちが党を支えているんだ』という意識が強いから、言いたいことはたくさんあるはずです。特に、都道府県連の幹事長クラスは当選回数も多く、中には地方の“ドン”みたいな人もいる。彼らは肝が据わっていて怖いですよ。岸田さんは相当厳しく詰められると思います」

 自民党東京都連関係者は不安げな様子でこう話した。

「総理はサッサと裏金事件を幕引きしたいのでしょうが、政倫審を党大会と幹事長会議の直前に済ませようという発想は疑問です。特に、下村さんが安倍派の裏金スキームの“創設者”といわれている森元総理について、トンデモナイ事実をブチまけてしまわないか……。下村さんは森さんと関係が悪いですから、何を言い出すか分からない。今年は夏に複数選挙区で都議補選がありますから、ハレーションを生むようなやり方は勘弁してもらいたい」

 地方の乱は「岸田降ろし」に発展する可能性もある。ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。

内閣支持率が1ケタ台に落ち込んだ森喜朗政権時、自民党の地方組織が『NO』の声を上げ、退陣に追い込んだ例があります。2001年3月の党大会の会場で、地方議員たちが森首相の退陣を求めるビラを配布。6月に都議選を控えていた都議だけでなく、他の県連所属の地方議員も動きました。そうした意見に押され、党本部は総裁選の前倒しを決定。森首相は退陣に追い込まれたのです。今年は全国で500以上の地方選挙が実施されます。実動部隊である地方議員たちが幹事長会議や党大会で『岸田首相では戦えない』と声を上げてもおかしくありません。事実上の退陣要求である『総裁選前倒し』を求める意見が出る可能性もあります」

 地方の“ドン”たちから退陣を突きつけられたら、抜群の「鈍感力」を誇る岸田首相も真っ青になるに違いない。