1962年、ケネディ米大統領の誕生祝賀会でマリリン・モンロ…(2024年3月19日『東京新聞』-「筆洗」)

 
  1962年、ケネディ米大統領の誕生祝賀会でマリリン・モンローが歌った、「ハッピーバースデー、ミスタープレジデント」。あだっぽい歌声を思い出すが、歌詞に企業の名が出てくる
 
 
▼米鉄鋼大手のUSスチール。<大統領、あなたが成し遂げたすべてのことに感謝します。あなたの勝利した闘い、あなたのUSスチールへの対処法…>。時期からしUSスチールなどが一方的な値上げに動いた際、ケネディが強く非難し、値上げを撤回させたことを指しているのだろう
▼どうやら、現在の大統領も大統領候補も同社への「対処法」で称賛を集めたいらしい。日本製鉄のUSスチール買収問題である。トランプ前大統領が買収を認めぬと発言したのに続き、バイデン大統領も反対姿勢を示した
▼橋、鉄道、自動車。その鉄で、20世紀の米国の発展を支えた同社は長い間、国の繁栄と強さを象徴する企業だった。今や世界との競争で後れを取り、衰えたとはいえ、同社が海外企業に買収されるとなれば、米国民の心情として認めたくないところもあるのだろう
▼時期も悪い。本社のあるペンシルベニア州は大統領選で民主、共和両党がしのぎを削る激戦州。企業同士が合意した買収だが、バイデンさんもトランプさんも地元の反対論を敵に回せない
▼岸田首相の4月訪米でどうなるかだが、円満な「対処法」は当分、期待できまい。
 

USスチールの買収に関するステイトメント
2024/03/15

日本製鉄株式会社

 日本製鉄は、USスチールへの投資の拡大と先進技術の提供を通じて、米国の鉄鋼を必要とする重要産業のお客様に対して、より高品質で競争力ある製品・サービスを提供することで、米国の優位性を高め、同時に米国のサプライチェーンと中国に対する経済安全保障を強化します。独占禁止法の要件を満たした上で、このような米国の優位性強化を独力で実現し得る、他の米国企業はありません。

 日本製鉄が目指すものは,USスチールを強化し、米国市場において共に成長することであり、このためには優秀な従業員が不可欠です。日本製鉄は、全米鉄鋼労働組合(以下「USW」)に対し、雇用、年金、設備投資、技術共有、財務報告及び本買収成立後のUSWとの労働協約に関する義務履行の確保に関する重要な約束事項を提案し、相互に合意可能な解決に向けた努力を継続しています。
 
 日本製鉄は、USスチールが今後何世代にもわたって米国の象徴的な企業としてあり続けるための最適なパートナーであると確信しています。日本製鉄は、米国政府による、法の支配の下で、客観性のある、適正に定められた手続きを信頼し、CFIUSを含む規制当局の審査に対応しています。

 日本製鉄は、強い決意のもと、これらのプロセスを完遂し、本買収を完了させて参ります。

<関連する情報・背景>
・日本製鉄は、ペンシルべニア州、ウェストバージニア州バージニア州アラバマ州などの原料炭を70年以上に亘って輸入するなど、米国とは長い友好関係があり、本買収を通じてその関係を更に発展させていきたいと考えています。

ウェストバージニア州に立地するウィーリングニッポンスチール(日本製鉄100%子会社)は、ペンシルべニア州に立地するUSスチールモンバレー製鉄所の主要顧客の一つです。

・日本製鉄は、合計620名のUSW組合員を擁するペンシルべニア州のスタンダードスチールやウェストバージニア州のウィーリングニッポンスチールを含め、米国で約4,000名の従業員を雇用しています。

・ウィーリングニッポンスチールは、ウィーリング ピッツバーグ(米国製鉄会社)が倒産したのちも、日本製鉄100%の子会社としてUSW組合員である従業員とともに40年以上にわたり盛業中です。

・日本製鉄は、本買収が完了したのち、USスチールが現行の労働協約から140%増しとなる14億ドルの追加投資を行うとともに、本買収に起因するレイオフ及び工場閉鎖を行わないことなどをUSWにコミットします。

お問い合わせ先:総務部広報センター 03-6867--2977、2135、3419、2146