中小企業の30.9%が「賃上げ予定なし」 大手は待遇改善が進むのに… 城南信金と東京新聞アンケート(2024年3月18日『東京新聞』)

 
 今春闘で大手企業の大幅賃上げが相次ぎ、中小企業の動向に焦点が移る中、城南信用金庫(東京都品川区)と東京新聞のアンケートに、首都圏の中小零細企業の約3割が「賃上げの予定なし」と答えた。前回(1月)調査時から改善はしているが、依然として厳しい中小の経営状況が浮き彫りになった。(砂本紅年)

◆「賃上げする予定」は36.0%に改善

 調査は今月13~15日、東京都と神奈川県にある城南信金の本支店が実施。取引先の中小企業811社に聞き取った。調査によると、今年は「賃上げをする予定」と答えたのは36.0%で、前回調査より約8ポイント上昇。これに対し「賃上げの予定はない」は30.9%。前回より約4.1ポイント減ったものの、多くは原材料高などで「賃上げの原資がない」としている。
 大手では、昨年を上回る労働組合の賃上げ要求に対し満額回答が続出。全体の雇用の約7割を占める中小への波及が注目を集めている。大手の賃上げが中小企業の人材確保に影響しているか聞いたところ、74.3%が「影響していると思う」と回答。「優秀な人材が、大手など待遇面良好な先に流出している」(品川区・サービス業)など、中小の人材不足を裏付けるような例もあった。
 人材に関しては「募集しても集まらない」「現場が高齢化している」といった声も目立った。昨年賃上げを実施、もしくは今年賃上げを予定している企業のうち、賃上げの理由として62.7%が従業員の意欲向上と人材定着を挙げており、中小の現場も「売り手市場」に拍車がかかっているとみられる。
 日銀のマイナス金利解除の見通しについては約3分の2が「関心ある」。また半数以上が「(金利上昇への)不安がある」と回答した。
 調査結果の詳報は後日、掲載する予定。