下村氏 キックバック継続の経緯「本当に知らない」(2024年3月18日『NHKニュース』)

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて衆議院政治倫理審査会が開かれ、安倍派の下村・元政務調査会長は、キックバックが続けられたいきさつについて「いつ誰がどんな形で決めたか本当に知らない」と述べ、関与を否定しました。

派閥の会計処理「全く関与していなかった」

今回の問題を受けて衆議院で18日政治倫理審査会が開かれ、安倍派の下村・元政務調査会長による弁明と質疑が行われました。

この中で下村氏は「国民に多大なる不信と疑念を抱かせてしまったことを心より謝罪する」と陳謝しました。

その上で派閥の会計処理に関して「全く関与していなかった。収支報告書について何らかの相談を受けたり、事務局に指示したこともなく、還付の事実も知らなかった。長年の慣行として会長と事務局長で不記載も含め決めてきたことではないか」と説明しました。

またおととし4月に派閥の会長だった安倍元総理大臣のもとで行われた幹部会合について「安倍氏から、『現金の還付は不透明だからやめよう』という話があったが、不記載であるとか、違法であるという話は全く出なかった」と述べました。

さらに、安倍氏が死去した後のおととし8月にパーティー収入のキックバックの取り扱いを協議した派閥幹部の会合について「還付をやめることを前提とした議論だった。還付以外の形での戻し方として議員個人のパーティー券を派閥が購入して協力する形が取れるのではないかと議論になったが、結論が出たわけではなく、この会合で還付の継続を決めたということは全くない」と述べました。

一方、この時のやりとりをめぐり、ことし1月の記者会見で「還付分は『合法的』な形で出すという案が示された」と発言したことについては、「派閥で個人のパーティー券を買うのは150万円以内という意味での合法的な形ということだ。還付が不記載であることは、私自身は知らなかったし、その前提で話をしたわけではない」と述べました。

政治資金規正法では、1回の政治資金パーティーで1つの団体や個人1人が購入できるパーティー券の上限を150万円としています。

立憲民主党の寺田学氏は「個人が開くパーティー券を派閥が買うのではなく、なぜ素直に派閥から寄付をするというアイデアが出なかったのか」とただしました。

これに対し下村氏は「還付の復活は、8月の会合では全く念頭になかった。ノルマ以上の人たちに、どういう戻し方があるかという中で、個人がパーティーを開いた時に派閥がパーティー券を協力するということについて、いろいろな方々から『そういう方向でいいのではないか』という議論があった」と述べました。

そしてキックバックが続けられたいきさつについては「私自身がいる場所で決めたということは全くなく、いつ、誰が、どんな形で、どのように決めたかは本当に知らない」と述べ、関与を否定しました。

【各党の反応】

自民 丹羽氏「幹部の説明には疑問が残る」

衆議院政治倫理審査会で与党側の筆頭幹事を務める自民党丹羽秀樹衆議院議員は記者団に対し「説明責任を果たしたかどうかを判断するのは国民や有権者だが、安倍派が還付を続けたことについて『決断を下していない』という幹部の説明には疑問が残ると言わざるを得ない」と述べました。

また、野党側がほかの関係議員の審査会への出席を求めていることについて「衆議院では与野党が合意の上で議員が申し出て審査会を開いている」と述べ、開催は本人の申し出が前提だという考えを示しました。

自民 茂木幹事長「政治的責任 しっかり対処していくこと重要」

自民党の茂木幹事長は記者会見で「これまで審査会に出席した議員以上の発言はなかったと聞いている。いずれにしても国民から非常に厳しい目が向けられており、事実関係を明らかにしていくと同時に、政治的責任についてもしっかり対処していくことが重要だ」と述べました。

立民 安住国対委員長「正直に話そうという姿勢 全く感じられず」

立憲民主党の安住国会対策委員長は記者団に対し「正直に事実を話そうという姿勢は全く感じられなかった。核心に迫ると、誰が言ったかわからなくなるのはごまかしているということであり、みんな自分に都合のいい嘘をつく『自己正当化政倫審』だ。こういう人たちが日本の政権中枢にずっといて、リーダーでありながら『何も知らない』と無責任な態度をとっている」と述べました。

その上で「政治倫理審査会ではもう限度があり、派閥幹部がこういう状況なので中堅・若手で正直に話をしてくれる人が出てくることを期待したい。あす、野党の国会対策委員長で相談して次の手を考えたい」と述べま

維新 遠藤国対委員長「真相解明はできないという質疑内容」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、記者団に対し「真相を解明するつもりがなく、国民に説明する気持ちもないということではないか。いつまでこの人たちに聞いても、真相解明はできないという質疑の内容だった。『真相を解明しなければならない』という自民党議員もいるだろうからそういう人たちに聞くことも1つのやり方ではないか」と述べました。

共産 小池書記局長「一切何も語らなかった 今までで最悪」

共産党の小池書記局長は記者会見で「下村氏は、何か明らかにするのではないかと思わせておいて、一切何も語らなかった。今までの審査会の発言の中でも最悪の話だった。いろいろなことを聞かれても、会長と事務局長しか知らないと言うのであれば、森元総理大臣を含めた安倍派の幹部全員と二階派の幹部は、うそをついたら偽証罪に問われる証人喚問が必要だ。真相が明らかにならなければ、処分もできない」と述べました。

政治倫理審査会でのやり取りは】

「国民に多大なる不信と疑念 心より謝罪」 

午後3時20分すぎから自民党安倍派の下村・元政務調査会長の弁明が始まりました。

下村・元政務調査会長は「今回、清和政策研究会政治資金パーティーの収入と支出に関し、収支報告書への記載が漏れ、私自身の政治団体でも清和政策研究会からの寄付が不記載となっていた。このことで国民に多大なる不信と疑念を抱かせてしまった。心より謝罪する」と述べました。

下村・元政務調査会長は、派閥のパーティー券の販売ノルマについて「私の事務所では基本的に毎年、ノルマ分のみの販売を目標としていたため、2018年はノルマを超える分は発生していなかったが、2019年以降、新型コロナによるパーティーの規模縮小に伴いノルマの額が半減したため、ノルマを超える分が発生したとのことだった」と述べました。

「還付される扱いになっていることを知らなかった」

下村・元政務調査会長は、安倍派で行われていた所属議員へのパーティー収入のキックバックについて「私自身はノルマを超えた分が清和政策研究会から還付される扱いになっていることを知らなかったので、ノルマを超える分が私の政治団体で保留されているという認識もなかった」と述べました。

「派閥のパーティー券収入 ノルマ分だけと指示があった」

「秘書に確認したところ、清和政策研究会の事務局から派閥のパーティー券収入はノルマ分だけを入れればよいと指示があったため、ノルマを超す分は私の事務所で清和政策研究会のパーティー収入を管理していた専用口座にそのまま残して保管しておいたとのことだ。また一部はパーティー当日に現金で持参した人がいて、その分が派閥から戻されたものだったということだ」

「ノルマ超過分は使用されることなく保管」 

「私の事務所では清和政策研究会のパーティー収入は事務所の口座は別の口座で区別して管理しており、ノルマ超過分はそのまま使用されることなく保管されていた。また一部、派閥から戻された分もあり、事務所内で現金で秘書が保管していたが、これも同様に使用されることなくそのまま保管されていた」

「『裏金』何かに使用した事実はなかった」

下村・元政務調査会長は派閥からのキックバックについて「今回、東京地検の捜査を受け、通帳や事務所で作成した資料はすべて提出し、口座に預け入れられたままとなっていた事実などが確認されている。このことから、いわゆる『裏金』として何かに使用した事実はなかったことは明らかだ」と述べました。

「派閥事務局からの誤伝達もあり不記載」

下村・元政務調査会長は、みずからの政治団体の収支報告書への不記載について「ノルマ超過分は清和政策研究会からの『寄付』として収支報告書に記載されるべきものだったが、派閥事務局からの誤った伝達もあり、記載されないままとなっていた。このため、今回、『寄付』として訂正した」と述べました。

下村・元政務調査会長は、みずからの政治団体の収支報告書への不記載について「私自身は知らなかったとはいえ、収支報告書に記載すべきものを記載していなかったことは事実で、改めて深く反省するとともに、政治資金規正法や収支報告書の記載義務に対する認識の甘さによって多くの方にご迷惑をおかけしたことを心よりおわびする」と述べました。

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「派閥の会計には全く関与していなかった」

下村・元政務調査会長は、派閥の会計処理をめぐり「事務総長の役割は、所属議員の選挙区情勢や選挙態勢のバックアップなどが主で、清和政策研究会の会計には全く関与していなかった。事務総長の時代に清和政策研究会の収支報告書について何らかの相談を受けたり、事務局に対し指示をしたこともなかった。パーティー収入についてノルマを超す分が各議員の事務所に還付されているという事実も知らなかった」と述べました。

「当時の安倍会長から『派閥からの還付をやめよう』と聞いた」

下村・元政務調査会長は、安倍派で行われていた所属議員へのパーティー収入のキックバックについて「事実を知ったのは、2022年4月ごろに、当時の安倍会長から『派閥からの還付をやめよう』という話を聞いた時だ。ただ、この時は清和政策研究会からの還付金が収支報告書で不記載になっているという話はなかった」と述べました。

下村・元政務調査会長は、安倍派で行われていた所属議員へのパーティー収入のキックバックについて「当時の安倍会長の意向を受けてやめる方向となっていたものの、2022年7月に安倍会長が亡くなった後、結果的に派閥の事務局でこれまでの慣行にのっとって還付が行われたものと思われる」と述べました。

その上で「私自身、当時は清和政策研究会の会長代理だったが、2022年のパーティーに関しノルマを超す分を還付することを決めたり、収支報告書への不記載を指示したり了承したりしたことはない」と述べました。

「不記載を知ったのは去年暮れ以降のこと」

「私が派閥からの還付金が派閥や個人の政治団体の収支報告書で不記載となっていることを知ったのは、私の事務所での派閥からの還付金の有無やその取り扱いについて秘書に確認した去年暮れ以降のことだ。それまでは知らなかった」

清和政策研究会での収支報告書の不記載については私も告発を受けたが、検察官に対し私自身の認識を説明し、必要な捜査が遂げられた上で不起訴という判断になったと認識している。国民の政治への信頼を損なう結果となったことは痛恨の極みで、改めておわび申し上げる」

「今後 透明性を持った政治活動を行う」

「長年の慣行だったとはいえ、清和政策研究会の中堅や若手に大変な迷惑をかけてしまったことを、かつての幹部として申し訳なく思っている。今後は収支報告書の正確な記載を徹底し、透明性を持った政治活動を行うと約束する。資金の透明化を図る手立てもしっかり講じる対策を行うことで国民の信頼を取り戻せるよう努力し精進していく」

「今、党でも政治資金規正法などをより強化する法的な手続きを行っている。しっかりと私も先頭に立って取り組むことで、今後ともさらに国民に丁寧に説明し政治責任を果たしていきたい」

「政治資金問題の説明 経理・会計の報告 全くなかった」

下村・元政務調査会長は「事務総長や会長代理の役職であっても、事務局から政治資金の問題について説明を受けたり、経理・会計について報告があったりすることは全くなかった」と述べました。

幹部協議「寄付せずパーティー券 派閥購入は合法的という意味」

下村・元政務調査会長はおととし・2022年の8月の幹部協議でのやりとりについて「今後の派閥の運営の仕方や、安倍会長の葬儀についての話が中心だった。4月に還付をやめることを所属議員に連絡していたが、すでにチケットを売ってしまった人から、『還付してもらいたい』と言われたという話が出てきた」と説明しました。

その上で「『戻してほしい』という方々にどんな方法がとれるのかということで、個人でパーティーを行った際の券を派閥が購入する方法があるのではないかということをある人が言った」と述べました。

そして「寄付をしないでパーティー券を派閥が購入することは合法的という意味であり、そのことについていろいろな議論があった。しかし誰が最初に言ったのかは実は私も覚えていない」と説明しました。

自民党井出庸生氏は「下村議員1人の責任ではないが、下村議員も幹部の中の1人だ。このままみなさんが『知らぬ存ぜず』と言うのであれば、党の処分として、派閥の歴代会長や幹部を経験したすべての人に管理監督責任を問わなければならない。派閥幹部の責任についてどう考えているのか」とただしました。

これに対し下村・元政務調査会長は「なぜ還付が復活したのか、少なくとも私自身がいるところでそういう議論があったわけではない。私が知らないところで、どんな形で誰がどう決めたのかについても全く承知していないが、責任を回避するつもりは全くない。今後、党の処分などは真摯に受け止めたい」と述べました。

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幹部協議「還付継続を決めたということは全くない」

下村・元政務調査会長は、おととし8月に行われたパーティー収入のキックバックの取り扱いを協議した派閥幹部の協議について「還付をやめることを前提とした議論だった。還付以外の形での戻し方として議員個人のパーティー券を派閥が購入して協力するという形が取れるのではないかと議論になったが、結論が出たわけではない。この会合で、還付を継続することを決めたということは全くない」と述べました。

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「150万円以内という意味で合法的」

下村・元政務調査会長は、ことし1月の記者会見で「還付分は合法的な形で出すという案が示された」と発言したことについて「派閥で個人のパーティー券を買うのは150万円以内という意味での合法的な形ということだ。還付が不記載であることは、私自身は知らなかったし、その前提で話をしたわけではない」と述べました。

政治資金規正法では、1回の政治資金パーティーで1つの団体や個人1人が購入できるパーティー券の上限を150万円としています。

立憲民主党の寺田学氏は「派閥のパーティー券をノルマ以上に売った個人に返すときに、個人が開くパーティー券を派閥が買うのではなく、なぜ素直に、派閥から寄付をするというアイデアが出なかったのか。派閥で買う案を出したのは誰か」とただしました。

これに対し下村・元政務調査会長は「2022年4月に安倍会長から還付はやめるという話があり、皆さんに連絡していた。それを復活するということは、8月の会議では全く念頭になかった」と述べました。

その上で「ノルマ以上の人たちに、どういう戻し方があるかという中で、個人がパーティーを開いた時に派閥がパーティー券を協力するということについて、いろいろな方々から『そういう方向でいいのではないか』という議論があった。ことし1月31日の記者会見で特定できる記憶があったわけでなく『ある人が』ということを申し上げた」と述べました。

キックバック継続「どのように決めたかは本当に知らない」

下村・元政務調査会長は、誰がキックバックの継続を決めたのか改めて問われ「私自身がいる場所で決めたということは全くない。いつ、誰が、どんな形で、どのように決めたかは本当に知らない」と述べました。

還付 不記載「いつ始まったか はっきり申し上げることできない」

立憲民主党の寺田学氏は「塩谷氏や萩生田氏のこれまでの証言を照らし合わせると、森元総理大臣が派閥の会長を務めていたときに還付や不記載の仕組みが始まったのではないか」とただしました。

これに対し、下村・元政務調査会長は「私自身は少なくとも2018年までは還付そのものを受けておらず、そもそもそういうことがあったことも承知していなかった。初めて還付を受けたのを承知したのは2022年の4月であり、いつから始まったかははっきり申し上げることはできない」と述べました。

日本維新の会の岩谷良平氏は「久しぶりに派閥に戻った安倍元総理大臣が違法な裏金づくりが行われていたことに驚いて、すぐにやめるよう指示を出したのではないか」と質問しました。

これに対し、下村・元政務調査会長は「2022年の4月に安倍氏の事務所に、私と塩谷氏、西村氏、世耕氏が呼ばれ、安倍氏から、現金の還付は不透明だからやめようという話があったが、不記載であるとか、違法であるという話は全く出なかった」と述べました。

幹部協議「結論が出なかったのが基本」

また「おととし8月の会合で派閥幹部は『結論が出なかった』と言っているが、塩谷氏だけが『継続でしかたないのではないかという感じで継続が決まった』と言っている。その会合のあとで塩谷氏がキックバックの継続を決めたと考えるのか」とただしました。

これに対し下村・元政務調査会長は「8月の会合では、結論が出なかったのが基本なので、塩谷議員がどういう言い方をしたのか詳しくは承知していない。塩谷議員が8月の会合のあと、どのように事務方から言われたのか、あるいは、ほかの方と相談したのか、私自身はまったく承知していない」と述べました。

日本維新の会の岩谷良平氏は「ここでの証言は偽証罪に問われない。ぜひ証人喚問に出てほしい」とせまりました。

これに対し下村・元政務調査会長は「私はこの政治倫理審査会の場できちんと説明できると思っている。そもそも偽証しておらず、正しく説明していると思っている」と述べました。

「長年の慣行で会長 事務局長で決めてきたことではないか」

共産党の宮本徹氏はこれまでのところ、キックバックの継続に関与したとする議員がいないことを踏まえ、「安倍派は事務方だけでキックバックを復活させるという判断ができる組織なのか」とただしました。

これに対し下村・元政務調査会長は「長年の慣行として会長と事務局長で、不記載も含めて決めてきたことではないか」と述べました。

【発言が注目される下村博文氏とは】 

下村博文氏は、衆議院東京11区選出の当選9回。これまでに文部科学大臣自民党政務調査会長などを歴任しました。

安倍派では、2018年1月から2019年9月まで当時の細田会長のもとで事務総長を、安倍元総理大臣が会長に就任した2021年11月から去年8月まで塩谷・元文部科学大臣とともに会長代理を務めました。

所属議員へのキックバックの取り扱いを話し合ったおととし8月の幹部協議に出席した1人でもあります。ただ、かつて派閥の会長を務めた森・元総理大臣や、「5人衆」と呼ばれる有力議員とは距離があるとされ、去年8月に発足した新たな体制では、派閥の意思決定にあたる常任幹事会のメンバーにはなりませんでした。

1.なぜキックバックは継続されたのか? 

これまで衆参両院で開かれた審査会で大きな焦点となってきたのが、安倍・元総理大臣が中止を指示したとされる議員側へのキックバックが、なぜその後、継続されたのかについてです。

キックバックの継続について話し合いが行われたとされる、おととし8月の安倍派幹部らの会合には、すでに審査会で弁明を行っている西村氏、塩谷氏、世耕氏、そして下村氏が参加していました。

今月1日の審査会では、西村氏が「ノルマ以上に売った議員から、返して欲しいという声があり、8月の上旬に幹部で集まってどう対応するかということを協議したが、そのときは結論は出なかった」と述べたのに対し、

塩谷氏は「還付をどうするか、困っている人がたくさんいるから、『しょうがないかな』というくらいの話し合いで、継続になったと理解している」などと説明しました。

野党側が「説明が食い違っている」と指摘する中、参議院の審査会で世耕氏の発言に注目が集まりました。

しかし、世耕氏は、そのときの会合では「何か確定的なことは決まっていない」とした上で、「どこで誰がキックバックの継続を決めたのか」と問われると、「誰が決めたのか、私自身知りたい」などと答え、派閥幹部による意思決定がどのように行われたのか、依然、疑問は解消されていません。

2.違法性の認識はあったのか?

おととし8月の協議をめぐっては、下村氏がことし1月の記者会見で「還付分は各議員個人の資金集めパーティーに上乗せし、収支報告書で合法的な形で出すという案が示された」と述べています。

この「合法的な形」という発言について、野党側は安倍派幹部が違法性を認識していた可能性を示していると指摘しています。

また、下村氏が言う「案」を誰が示したのかについても、世耕氏が「記憶にない」と述べるなど明らかになっておらず、下村氏の説明が注目されます。

3.いつキックバックは始まったのか?

もう1つの焦点は、キックバックが始まった経緯や時期についてです。

これまで塩谷氏が「20数年前から始まったのではないかと思うが、明確な経緯は承知していない」と述べ、世耕氏は「少なくとも10数年前には始まったと思うが、いつ始まったのか分からない」と述べています。

また西村氏は「派閥の歴代会長と事務職の事務局長との間で長年慣行的に扱ってきたことで、会長以外の幹部が関与することはなかった」などと語っています。

歴代の安倍派の会長は、安倍氏細田氏、町村氏がすでに死去しています。

町村氏の前の安倍派の会長で、派閥への強い影響力を持っていた森・元総理大臣が関与していたかどうかについて、これまで出席した幹部らは、「自民党ヒアリングで森氏の関与は認められていない」などと述べるにとどまっていて、こうした点についても下村氏がどのような認識や考えを述べるのかが注目されています。

下村氏の修正の内容は

安倍派の事務総長を務めた下村氏は、自民党が行ったアンケートで、2022年までの4年間に不記載などの金額が、あわせて476万円あったとしていて、年ごとの内訳は2019年が36万円、2020年が124万円、2021年が188万円、2022年が128万円となっています。

自身が代表を務める政治団体自民党東京都第十一選挙区支部」の2022年までの3年間の政治資金収支報告書に派閥からの収入、あわせて440万円を記載していなかったとして1月31日に収支報告書を訂正しています。

下村氏は自身のホームページで、ノルマを超えた派閥のパーティー券の販売代金について「専用口座で管理し、一切支出していない」とした上で、「寄付として記載されるべきものだったが、派閥事務局からの誤った伝達もあり、記載されないままとなっていた」などとしています。