政治倫理審査会が開かれたが「説明責任」は説明すれば良いわけではない。もはや「政治不信」どころか「政治家への絶望」(2024年3月16日)

幕引きを狙ったが

アカウンタビリティのことですよ

本来ならば……

 今回の問題では、派閥から裏金としてキックバックを受けた4800万円の収入を自身の政治団体政治資金収支報告書に記載しなかった疑いで安倍派の池田佳隆衆議院議員が逮捕され、4300万円が不記載で、略式起訴された谷川弥一衆議院議員議員辞職した。谷川氏には罰金100万円と公民権停止3年間の略式命令が下っており、3年間は立候補できない。政治家にとっては厳しい判決だ。

 ところが、不記載金額が4000万円未満だったその他の多くの議員については、東京地検特捜部は立件を見送っている。金額で立件するかどうかを決めるのは地検の判断として致し方ないとして、立件されなかったから政治家として問題なし、ということにはならない。本来ならば議員資格を失うような不正行為なのだ。

 何かキックバックの金額決定や不記載に関わったとなれば、法的にはともかく、政治家として道義的倫理的な責任は逮捕・議員辞職した2人と変わらない。少しでも責任を認めれば、議員辞職するしかなくなるため、何を聞かれても、知らぬ存ぜぬで押し通す他ない、ということなのだろう。

 キックバックされたカネを何に使ったか。その「説明責任」もまったく果たされていない。地元の県議会議員や市議会議員に配ったと説明した議員もいたが、「選挙期間中であろうとなかろうと事実上の買収だ」と国会議員の秘書から地方自治体の議員になった元政治家も呆れる。区議会議員らに資金を配った柿沢未途・元法務副大臣は逮捕・起訴され、当初は買収の意図を否定したものの、結局、一審有罪となり、懲役2年、執行猶予5年の判決が下った。確定すれば5年間は立候補できなくなる。つまり、派閥からキックバックを受けた議員たちは、そのカネを何に使ったかも、口が裂けても言えなくなったわけだ。

 テレビ中継を通じて、何を聞かれても、真実を語らない国会議員たちの姿を見て、子どもたちはどう思うのだろうか。もはや政府不信の域を越えて、政治家への絶望感が漂ってくる。

磯山 友幸(経済ジャーナリスト)