自分の受験番号を見つけ、喜ぶ中学生ら=14日、石川県輪島市河井町の輪島高校で
輪島高校では14日正午、正面玄関前で合格者の番号が張り出されると、集まった受験生が手を取り合って喜んだ。輪島中3年の山瀬大喜(はるき)さん(15)は「地震で県外からたくさんの人が駆け付けてくれた。自分もそうなりたい」と、被災を機に思い描き始めた夢への決意を語った。
山瀬さんは地震後、金沢市内の高校に志望校を変えるか悩んだが、4月からの授業再開を受けて地元での進学を決めた。自宅は今も断水中で、避難所で生活しながら受験勉強に励んできた。将来の目標はおぼろげだったが、耐震性の高い水道管やガス管などを開発する仕事に就きたいと思うようになった。「高校でしっかり勉強して大学に進みたい」と意気込んだ。
同級生の高橋惺(さとい)さん(15)も「具体的には何ができるか分からないけど、高校生になってボランティアもしたい」と意欲的。変わり果てた故郷の姿を見て「医師になって輪島に戻ってきたい」と話した。
珠洲市の飯田高校でも跳びはねて喜ぶ姿が見られた。緑丘中3年の時兼(ときかね)佑季さん(15)は、地震で自宅が全壊し、父の勤務先事務所で生活を送る。「個室がなくて勉強しづらかった」と振り返り、「受験の時は数学が不安で落ちたと思ったが、番号があってうれしい」と笑顔を見せた。
校舎に大きな被害が出た穴水町の穴水高校は、間借りしている地元の穴水中学校の正面玄関に合格者番号を張り出した。将来の夢はゲームプログラマーという下崎聖古さん(15)は「地震を経験したからこそ何も恐れず、新しい道に向かって突き進める」と力強く話した。
輪島中3年の相上(あいじょう)真輝さん(15)は金沢西高に合格。地元の輪島高に進学するつもりだったが、志望校を変更した。避難後から本格的な受験勉強を始め、1日10時間ほど机に向かって「挽回できた」という。
「正直受かるかどうか確信がなかった。番号があってびっくりした」と喜んだ相上さん。新天地での高校生活になじめるか心配もあるというが、「(輪島と比べて)人も多いし、友達を増やして文化祭などの行事を楽しみたい」と話した。(上井啓太郎、清水悠莉子、小林大晃、郷司駿成)