旧優生保護法で不妊手術強制 国に賠償命じる判決 名古屋地裁(2024年3月12日『NHKニュース』)

優生保護法のもとで不妊手術を強制されたとして、名古屋市の70代の夫婦が国に損害賠償を求めた裁判で、名古屋地方裁判所は原告の訴えを認め、この法律は憲法に違反するとして国に賠償を命じました。

名古屋市の尾上一孝さん(77)と敬子さん(74)夫婦は聴覚に障害があり、1975年ごろ、旧優生保護法のもとで不妊手術を強制されたとして、国に2900万円余りの損害賠償を求めました。

 

12日の判決で名古屋地方裁判所の齋藤毅裁判長は、旧優生保護法憲法に違反すると判断しました。

そのうえで、国側が主張していた手術から時間がたって賠償を求める権利が消滅しているかどうかについては「国は『遺伝性の疾患などがある人は劣っている』という認識を社会に広げ定着するよう促進してきたといえ、原告らが賠償請求できる期間内に請求するのは不可能だった」と指摘し、国に1600万円余りの賠償を命じました。

各地で起こされている同様の裁判で、国に賠償を命じた判決は今回を含めて10件目です。

優生保護法をめぐっては、最高裁大法廷が上告されている5件について当事者の主張を聞く弁論をことし5月に開くことを決め、夏にも統一判断が示される見通しになっています。

こども家庭庁「関係省庁と協議し適切に対応していく」

こども家庭庁は名古屋地方裁判所の判決について、「国の主張が一部認められなかったものと認識している。今後の対応については、判決内容を精査し関係省庁と協議した上で適切に対応してまいりたい」とコメントしています。