“夫婦別姓認めない規定は憲法違反” 12人が国に賠償求め提訴(2024年3月8日『NHKニュース』)

夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法に違反するとして、都内などに住む12人が国に賠償などを求める訴えを起こしました。同じ規定について、最高裁判所大法廷は2度にわたり合憲と判断していますが、原告は「夫婦どちらかが名字を捨てなければ結婚できない理不尽な制度を変えたい」と訴えています。

訴えを起こしたのは、東京や長野、北海道などに住む事実婚カップル5組と夫婦1組の合わせて12人です。

12人は8日、夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定について「婚姻の自由を保障した憲法に違反し、無効だ」などとして国に賠償などを求め、東京と札幌の地方裁判所に訴状を提出しました。

12人と弁護団は、結婚して名字が変わると旧姓にひも付いていた信用や評価を維持することが難しくなるほか、アイデンティティーの喪失を感じる人も少なくないと主張しています。

また、結婚を諦め事実婚を選んだ夫婦も、相続で不利になるなど結婚した夫婦との違いがさまざまな場面であり、常に不安を抱えているとしています。

同じ規定をめぐっては、2015年と2021年の2度にわたり最高裁判所の裁判官15人全員が参加する大法廷で審理され、いずれも多数意見で「憲法に違反しない」という判断が示されましたが、「憲法に違反する」と判断した裁判官も2015年は5人、2021年は4人いました。

東京の原告の1人でパートナーと17年間事実婚をしている根津充さん(仮名)は、「中学生になる娘がいるが、さまざまな法的な利益を受けることができない。夫婦どちらかが名字を捨てなければ結婚させてもらえない理不尽な制度を娘の代まで残したくない」と話していました。

 

弁護団長の寺原真希子弁護士は、「最高裁が国会で議論されるべきだとしたにもかかわらず国会に動きがないので、政治問題ではなく人権問題だということで提訴した。今度こそ司法の判断で人権侵害を終わりにしてほしい」と訴えました。

 

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